協会、京都民主医療機関連合、内部被ばくから子どもを守る関西検診プロジェクトで構成している避難者集団健診実行委員会は、福島県民健康調査対象外の避難者への幅広い健診保障を求めて京都府と5月8日に懇談を行った。実行委員会から、京都民医連の河本一成会長、同副会長の松浦ときえ氏、同事務局次長の塩見好朗氏、同事務局の西村淳子氏、協会から飯田哲夫理事と事務局が参加。京都府からは健康福祉部健康福祉総務課から福井敏行参事と古川浩気主幹、健康福祉部健康対策課から堀忍担当課長と小寺泰二主幹が出席した。
実行委員会が申し入れた要望は、①将来、国民への健診に甲状腺エコー検査を組み入れることも視野に、福島県民健康調査の対象外であっても原発事故の影響を心配される方々に対し、甲状腺エコー検査および、血液検査・尿検査などの健診の場を公的責任で設けるよう国に対し意見すること②福島県民健康調査の対象となっていても、上記健診の機会は保障すること③国の公的保障が確立するまでの間、健診受診を希望する人たちに対し、民間健診に対する助成制度を創設すること―の3項目。また、18年6月の請願署名提出後に送られてきた署名646筆もあわせて提出した。
この要望に対し京都府は、福島県が福島県立医科大学に委託をして県民健康調査を実施。被ばくの影響を推し量るためのデータを蓄積・分析し継続管理しており、責任主体はあくまでも国、福島県であると認識しているとコメントした。
また、その他の各自治体において住民の健康を守るため、子どもをはじめとした健診を実施している。甲状腺の検査についても、各自治体で必要かどうかを検討し判断した上で、各自治体の責任において行っていると認識しているとした。
その上で、健診を実施する場合、健診受診の理解を求めるには論理的根拠が必要であり、その必要性や必要対象エリアは国が提示すべきものと考える。民間の健診受診に対する避難者への助成制度を要望いただいたが、健診の実施というのはまずは国あるいは福島県が避難者に対して行うべきものと考えていると述べた。
続く意見交換で実行委員会は、「県民健康調査の対象者はあくまで福島県民。福島県に接する周辺自治体の住民が不安を感じていても福島県以外の人には健診は保障されていない」「福島県民でも健康調査は学校健診として行っている。年齢が上がれば、進学や就職で県外に出てしまう人も多いだろう。それを福島県の問題と切り捨てず、国に対し意見を続けてほしい」と重ねてお願いした。
また、実行委員会が主催している避難者集団健診の結果概要を報告し、参加者の3分の2が福島県以外の人たちであること、健診と同時開催している交流会において、母子避難の苦労や住居や仕事など生活再建の問題など、いろいろな課題が語られていることを説明。原発事故発災当時に、府がいち早く避難者への住居提供を開始し、また府主導で避難者支援団体の対話の場を現在においても提供していることや、府と避難者団体とで避難者に寄り添いたいと相談交流会を開催していることに敬意を表しつつ、事故からかなりの時間が経過し、被災者・避難者の抱える問題が変質、かつ深刻化していると訴えた。
府としても、より問題が複雑化、深刻化しているということを再認識し、引き続きそういった視点をもって支援を継続していきたいと述べた。