地域の課題、実情を共有 コミュニケーション委員会開く  PDF

 協会は、2018年度第2回コミュニケーション委員会を4月20日に開催した。地区医師会から16人、協会から6人が出席し、飯田泰啓代議員会議長の司会で進行した。協会からは、「医師偏在・開業規制」をテーマに報告を行った。

 今回、国から示された医師偏在指標に対して、各委員からは「医師個人の年齢・性別・労働時間・労働力、および各地区の面積比などは考慮されているのか」「外来医師多数区域となっている地域内でも医師の偏在はある」など、データの数値を疑問視する意見が出された。協会は「医師の性別や年齢別の労働時間などは一定反映されているというが、地区の面積比は考慮されていない。元のデータを見直さなければ、実態とは合わないデータになる」と指摘した。
 京都府北部の地域では医師不足が特に深刻であり、「丹後地域は現在、開業医が10人しかいない。このままでは医師会活動ができなくなる。勤務医にも校医などを協力してもらっているのが現状。どうすれば北部に医師が来てくれるのか。さまざまな策を考えているが、人口が減っていく地域では、なかなか医師は増えない」「過疎地域(医師少数区域)ほど、在宅医療をやるにしても、地域での医師1人当たりの面積比が大きくなり、広範囲で回らなければならず、非常に大変だ」など、地区の実情が報告された。これに対し協会は「医師が少ない地域への医師の派遣などは、公的医療機関の役割ではないか。しかし、統廃合で公的医療機関は減ってきている。このことも国に訴えていかなければならない」と述べた。
 医師の働き方改革に関して、各委員から「年間残業時間を1860時間まで認めること自体、おかしな話だ。当直が終わってそのまま勤務することは当たり前のようにあったが、これは病院に医師が足りていないということだ」「勤務医は忙しいが給料は見合ったものではなく、勤務医の報酬を上げようと思えば、病院の利益率を上げなければならない。やはり診療報酬での補填が必要ではないか」との意見が出された。これに対し協会は、「勤務医の働く時間ばかりが議論されているが、逆に勤務医が休める時間の確保が必要だ。そのためには医師を増やさなければならない」と述べた。
 その他にも、毎日新聞で開業医と勤務医の格差について書かれた社説に対して「開業医と勤務医を比べること自体がナンセンスだ。開業医には校医や地区医師会活動、経営者としての業務など、診療以外の仕事もある」との声が挙がった。
 最後に飯田議長から「国は医師少数区域をなくすという大義名分で、過剰とされる医師数を減らそうと考えている。今後も勤務医・患者とも連携しながらやっていきたい」と述べ、会を締めくくった。

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