初・再診料の引上げが必要 専門医会長との懇談会開く  PDF

 協会は専門医会長との懇談会を3月16日に開催。専門医会から11人、協会から8人が出席した。理事および保険審査通信検討委員の改選、2018年度審査に関するアンケート調査結果、20年度改定に対する保団連要求について担当理事が説明を行い、各専門医会からは次回改定への要求、昨年改定の不合理部分、協会活動への要望などで意見を聞いた。

7種類以上の内服薬に係る逓減は撤廃を

 内科:7種類以上の内服薬を処方した場合の処方料、薬剤料、処方箋料の逓減規定の改善が必要。むしろ処方決定は複雑となり増点してほしいというのが本音だ。特定疾患療養管理料は対象疾患の拡大を望む。認知症、逆流性食道炎、骨粗鬆症、リウマチ、高尿酸血症、慢性腎不全等も現行の対象疾患と同様に管理しており対象としてほしい。基本診療料は、次期改定での初・再診料の増点を望む。加算での評価ではなく点数本体の増点が必要。
 小児科:小児科外来診療料の包括範囲から診療情報提供料(Ⅰ)を外してほしい。小児かかりつけ診療料は要件が厳しいので、もう少し緩和してほしいとの意見がある。
 外科:次期改定については、基本的には学会を通じて外保連要求として上げているが、保団連としての要求もお願いしたい。診療内容向上会について、共催メーカーの確保が難しくなってきている。ここ2年も薄氷を踏む思いで開催してきたが、今年度の開催にあたっても個別に相談しながら進めたい。
 産婦人科:妊婦加算がいったん凍結となったが、もう一度算定できるようにした上で、一部負担金は公費負担とするべきだろう。緊急帝王切開術について、その判断以降の勤務は労働時間となり人件費が大きく増えることになる。しかし、現状の点数はその人件費増に見合っていない。働き方改革によって、余裕を持った配置が必要となることも考えられ、併せて初・再診料の引き上げが必要だ。
 耳鼻咽喉科:高齢者難聴は認知症への関与が明らかになるなか、中等度難聴時の補聴器装用を含めた丁寧な指導管理が重要である。診療における時間や負担が大きいので、高齢者中等度難聴指導管理料の新設を希望する。国民病であるアレルギー性鼻炎に対する唯一の根治治療として免疫療法が重要である。この治療法はアナフィラキシー予防もあって、診療における時間や負担が大きい上に長期の管理が必要であるために、アレルギー性鼻炎免疫療法指導管理料の新設が適当である。「診療科ごとの将来必要な医師数の見通し」を示していただいたが、根拠となる基礎データなどについて、もう少し詳細に説明していただきたい。
 泌尿器科:残尿測定の対象病名の拡大は、学会でも以前より要求しているが、ヒアリングにさえのらない。前の学会保険委員長も「ロビー活動をがんばります」と言っていたぐらいだが、保団連要求で取り上げてもらうことはありがたい。特定疾患療養管理料の対象疾患の泌尿器疾患への拡大も、以前からの要求だが同様に取り上げてもらうことはありがたい。

薬剤費高騰の構造見直しを

 形成外科:医療費の高騰を全体として心配する声がある。その要因の大部分は薬剤費の高騰であり、世界人口の1・6%しかない日本が、世界の薬剤費の40%を消費していると聞く。これは量が多いだけではなく、外国より高く買わされていることも原因ではないか。その結果、診療報酬本体が抑制されて、薬剤費にばかり医療費が使われていることを心配している。
 糖尿病:フラッシュグルコース測定は、現状では別途の評価がなく全くの赤字であり、評価の創設を求めたい。審査に関して、審査委員にはある程度の裁量はあるべきとは思うが、基本的には統一した基準があるべき。今後は、基金・国保での統一した基準も必要になると思う。
 透析:人工腎臓は改定前に「過剰な透析を行っている施設にはペナルティを課す」という話を聞いていた。それが1台のコンソールを効率的に運用する医療機関への減算となったわけだが、同じ医療を行っているにもかかわらず、1台のコンソールの使用人数で減算されることに納得ができない。また改定前に患者情報や透析施設の財務状況を丸裸にするような内容の調査が行われたが、個人情報の取扱いも決まっておらず、問い合わせを行ったところ任意調査でもあった。そのデータをもとに改定内容が決められたとすると、釈然としないものがある。危惧するのは、この減算基準のさらなる引下げだ。最低でも現状は維持してほしい。透析点数はその多くが包括であり消費税増税に伴ってさらに費用も膨らむ。また、患者高齢化によって送迎が必要な患者も増えており、人手も送迎車両もそれに伴う経費も自前で必要となっている。このような点も考慮していただきたい。
 循環器:内服薬の7剤しばりが問題だ。糖尿病や腎臓病といった合併症が循環器疾患には多く、どうしても7剤を超える。この点は是非とも強く要求を続けてもらいたい。他には、新しい治療の登場と保険診療の関連で、例えば術後に行う薬剤治療について、機器の添付文書上には記載されているが、薬剤の添付文書上には記載がなく認められないということがある。こういった矛盾がおこらないよう、適用の追加を迅速にしてもらいたい。
 腎臓:7種類以上の内服薬を処方する機会は多いので、この減算の取扱いは何とかしてほしい。個人的には湿布薬の70枚制限については、高齢者ではそれ以上必要なケースも多く、困ることがあるので改善してもらいたい。
◇  ◇
 協会は、要望として多かった内服薬の7剤しばりの撤廃、特定疾患療養管理料の対象疾患拡大、そして初・再診料の増点についてそれぞれ改善できるよう取り組むこと。薬剤料の高騰については、ブラックボックス化している日本における薬価の決定過程を変えていくことが必要と考えていること。その他のものも含め、各専門医会からの要望や意見については、保団連要求あるいは京都協会独自の要求として要望し、実現につなげていきたいと述べた。

ページの先頭へ