地域感染対策で学習会開く 京都市「疑いでも情報提供を」  PDF

 協会は3月7日、「地域感染対策について~外来診療に当たられる先生方へ~」をテーマに医療安全対策学習会を開催。講師として京都市保健福祉局医療衛生推進室健康安全課担当課長で医師の池田雄史氏と、京都市保健福祉局医療衛生推進室医務衛生課係長の吉岡葉子氏を迎えた。参加人数は28人であった。
 池田氏は、京都市保健所の仕組みとして医療衛生推進室があり、その配下に健康安全課、医療衛生センター(主に地域で生じる感染症・食中毒)、医務衛生課(主に院内感染)の3部門がそれぞれ機能していることを紹介した後、感染症対策上重要な厚労省通達と法律について解説した。
 また、感染症法に基づいた重要な探知システムとして、「感染症発生動向調査(NESID)」をあげ、届出の必要な感染症は五つのレベルに分類されるとした。1類はエボラ熱等、2類は結核等。3類は食品などに関わる従事者が罹患した場合で社会的な影響が出るもの。4類は動植物を介して生じる感染症でデング熱やA型肝炎等で、以上はただちに届出なければならないものと説明した。5類は「全数把握」して保健所が法律に基づいた実地調査を行って接触者調査を行うものと、インフルエンザや性感染症のように経時的なトレンドをみるために定点医療機関を決めて継続調査を行う「定点把握」の2種類がある。全数把握の場合は多くがただちに届出るとなっており、定点把握は7日以内となっているので注意を促した。また、百日咳は7日以内でよいができれば早めに届出してほしいと要望した。
 続いて吉岡氏は医療法上の届出について、開設者の転居や診療科目の変更、新たな医師の追加等の届出は変更後10日以内と解説し、医療法6条の12で管理者の責務として院内感染対策の指針の整備・職員研修や、感染症発生状況報告の収集および改善策の実施があるとした。
 質疑応答では、感染症を見逃した場合に罰則はあるのかとの質問に、池田氏は、罰則はないが事情を聴く場合があるとした。また、感染症を疑うけれども確定ではないという状況であっても「少しでも情報を寄せていただければ、ありがたい。疑いであっても、情報交換をすることが大切。ぜひご協力をお願いしたい」と締めくくった。

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