医界寸評  PDF

 日本の医療は健康保険制度下にあり、効率よく患者さんに医療が提供されている。言わずもがなだが、医療の提供は、医師が診断したうえで、適切な治療・投薬がなされる必要がある。しかし、ごく一部ではあるが医薬品に執着し、「私、どうしてもこれがほしい!」という患者さんを見かけることがある▼薬には魔力(?)があるのだろうか。実際、魔力に取りつかれたように特定の薬や治療に魅入られてしまう患者さんを見かける▼一例を挙げると、ヒルロイドである。冬季は肌が乾燥しやすいのでよく使われている。油分を含む外用薬は、乾燥を防ぎ効力も良い。その使い勝手の良さのために患者さんから処方の要望が多い医薬品だ。しかし、声高にこの薬の処方を要望する患者さんの中には、美容のための乾燥防止では?と少し勘ぐってしまう場合がある。丁寧な説明を心がけ理解を求めるが、なかなかに大変で頭を悩ませている▼医師や薬剤師による丁寧な説明が必須であるが、患者さんにも一緒に「医療費の浪費」について考えてもらわなければならないだろう。こういう事例が増えると、本当に医療が必要な患者さんに必要な医療を届けるという当たり前のことが、崩れていってしまう。日々の治療を顧みることもあらためて大切と認識した。(mykonos)

ページの先頭へ