医療・介護のリハビリで4月以降 打ち切りの懸念高まる  PDF

 2018年診療報酬改定において、1年に限って延長された要介護被保険者の外来維持期リハビリだが、その算定期限がいよいよ迫ってきている。
 介護報酬改定では、別の医療機関からの情報提供に基づいて訪問リハビリを実施する場合でも、事業所の医師の診察がなければ、訪問リハビリテーション費を算定できないという変更があった。事業所の医師が診察できない場合であっても、要件を満たせば1回につき20単位を減算した上で算定できる規定が設けられたが、その要件の一つである別の医療機関の医師の研修要件の経過措置が切れる3月末が、こちらも迫ってきている。
 3月末の期限到来を前にして協会は、(一社)京都府理学療法士会、(一社)京都府作業療法士会、(一社)京都府言語聴覚士会と共同で、「要介護被保険者の外来維持期リハビリの現状について」および「訪問リハビリテーション(介護保険)の現状について」として、実態把握を目的としたアンケート調査を実施した。
 結果の概要は以下の通り。詳細はグリーンペーパー№269(1月25日発行)をご参照いただきたい。

半数以上の医療機関で維持期リハビリ打ち切りの見通し

 京都府内で要介護者の外来維持期リハビリを実施した医療機関は76%、60医療機関。実人数で764人だった。外来維持期リハビリを実施した患者さんのその後の経過については、「介護保険のリハビリへの移行はせず、維持期リハビリを継続している」が最も多く、54%、411人であった。
 「維持期リハビリを継続している」理由のうち、「医学的理由で医療機関でのリハビリ継続が望ましい」は20%だったが、具体例を見ると、言語聴覚療法が介護保険では受けられない地域があるなど、同等のサービスが介護保険では存在しないために移行ができない事例があった。また、難病や透析の患者など、他疾患についてのフォローと万が一の対応を考えると医療機関でのリハビリが望ましいとの事例もあった。
 「維持期リハビリを継続している」理由のうち、最も多かったのは「本人が介護リハビリへの移行を希望しない」だった。しかし、本人が希望していないからと言って、リハビリが打ち切られてもよいはずはなく、個別の背景に沿って必要なリハビリが継続できるよう、丁寧な対応が必要となろう。
 「外来維持期リハビリを継続している」場合の2019年4月以降の見通しでは、「介護保険のリハビリに移行できるケースについては移行してもらうが、難しいケースについては打ち切りとなってしまうかもしれない」が40%、18医療機関。「介護保険のリハビリに移行できるケースは少なく、多くの場合は打ち切りとなってしまうだろう」は18%、8医療機関で、合わせると半数以上の医療機関で、外来維持期リハビリの打ち切りが予想される結果となった。

8割弱の事業所で訪問リハビリ
継続を見通せない利用者あり

 京都府内で、自院では診察できず別の医療機関の医師からの情報提供を受けて訪問リハビリテーションを行っている事業所は62%、48事業所。実施人数は実人数1868人で、訪問リハビリテーションの実施人数に占める割合は43%に上っている。
 別の医療機関の計画的な医学的管理を行っている医師が研修要件を満たしているかどうかについては実に92%、44事業所が「わからない」と回答した。別の医療機関の計画的な医学的管理を行っている医師が、期限までに研修要件を満たすことの可否については「わからない」「不可能だと思う」が合わせて8割以上だった。
 一方で、別の医療機関の計画的な医学的管理を行っている医師が研修要件を満たせない場合、自院の医師が診察を行って訪問リハビリテーションを実施することについて、「可能」との回答は2割強に留まった。
 その結果、2019年4月以降の状況として「訪問リハビリテーションの実施を打ち切らざるを得ない」が45%に上り、「わからない」と合わせて8割弱が4月以降の訪問リハビリ継続を見通せない事態となっている。

4月以降の算出求め
厚労省等に要望予定

 このまま3月末を迎えると医療・介護双方のリハビリにおいて、多くのリハビリの打ち切りを生むことになるのは間違いない。そのような事態を招かないためには、要介護者の維持期リハビリは、2019年4月1日以降も算定できるようにすること。介護保険の訪問リハビリは、別の医療機関の医師が研修要件を満たしていない場合でも、2019年4月1日以降も算定できるようにすることが必要であり、本調査結果を基にして、その旨を厚労大臣等に強く要望していきたい。

要介護被保険者の外来維持期リハビリの現状について
○調査方法=アンケート方式
○調査期間=2018年10月4日~31日
○調査対象=9月1日時点で京都府内で脳血管疾患等リハビリテーション料あるいは運動器リハビリテーション料の施設基準を届け出ている212医療機関
○回収数=82医療機関 ○回収率=38.9%

訪問リハビリテーション(介護保険)の現状について
○調査方法=アンケート方式
○調査期間=2018年10月4日~31日
○調査対象=9月1日時点で京都府・京都市の指定を受けている指定訪問リハビリテーション事業所235カ所
○回収数=89事業所 ○回収率=37.9%

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