医界寸評  PDF

 今年で平成が終わる▼昭和から平成への年、1989年は昭和天皇崩御に続き、手塚治虫、松下幸之助、美空ひばりといった方々が亡くなった。一方バブル景気、ベルリンの壁崩壊、冷戦終結という、暗さから明るさへの転換の時代であった。平成は4月30日で終わり5月1日から新元号となるが、今回は譲位であり特段の暗さはない▼天皇は85歳という高齢を理由に退位される。退位に対してはさまざまな意見があるだろうが、長生きは喜ばしいことだ。皇后とお二人、高齢夫婦での活動がテレビで紹介されるが、高齢化社会の幸運な象徴である▼高齢になると手助けが必要になる。しかし助けてくれる人がいなかったり、いても高齢者であることが増えてきた。手助けしてもらえる人は幸せである▼病気になると誰もが人の助けを借りる。高齢者はなおさらだ。医療の進歩で高齢でも治療は成功することが増えた。しかしその後体力が落ち以前の生活にすぐには戻れない。十分な援助がないと再び悪化する。医療費より介護費がかかるようになる。長生きしても素直に喜べない時代になった▼少子化社会では高齢者もいずれは減少し高齢者の社会保障費も増加しなくなるだろう。誰もが年を取る。高齢者への社会保障を目の敵にしない、高齢者が喜んで誕生日を迎えられる政策の始まる年であってほしい。(恭仁)

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