京都市 「要望実現に向け努力していきたい」
京都市は、要望の内容は十分理解できるものだと回答し、要望が実現できるように市としても努力していきたい。また、市として国に要望を伝える際、患者さんの声が聞けるこうした懇談は大変ありがたい。ぜひいろいろな意見を聞かせてほしいと述べた。
意見交換では、京都難病連の出席者から「服薬をしているから現在歩行ができる状態で、服薬を中止すれば寝たきりとなる。しかし、重症度分類では500mの歩行が可能だからと軽症高額の対象となった」「線維筋痛症は指定難病に入っていない。専門医も少なく大阪まで通院している状況。服薬で痛みを取っているが、飲まなければ動けない。指定難病として認めてほしい」「難病は現時点で軽快あるいは寛解の状態であっても、増悪時は一気に重症化し入院となることが多い。そのときに受給者証がなければ助成対象とならず、負担が大きい」「難病と診断された患者の不安感は大変大きい。最初の行政の窓口となる保健福祉センターで少しでも話を聞いてもらえればと思うが、事務的対応に終始している。患者会などの存在をそこで周知してもらえないか。また、難病に詳しいスタッフを置いてほしい」などの意見が出された。
協会からは、難病法で指定難病は拡大されたものの、重症度分類基準による助成対象の振り分けは、国の財政事情を出発点とする制度設計であり、社会保障制度の理念に基づくものではないと指摘。また、小児四肢疼痛発作症(難病未指定)は最近になって原因となる遺伝子が発見されたことを紹介。病態解明や治療のための研究においては、迅速に難病指定を行うとともに軽症時のデータが必要であること、特に希少難病の研究の重要性を訴えた。さらに、難病法で努力義務とされた難病対策地域協議会の設置についても質問。市は現在検討中で、どうすれば住民に資するものとして設置できるか考えていると述べた。
京都府「まずは国の制度充実を要請していく」
京都府との懇談では、府はすでに、患者や家族の利便性の向上や負担の軽減など、真に支援が必要な患者が適切な医療を受けられるよう制度の充実を図ること、国研究事業の促進により希少難病も含めて対象疾病を拡大すること、さらに実態把握を踏まえた軽症高額制度の見直しなどを国に要望しているところ。府独自の上乗せ制度も要望されているが、まずは国の制度の充実が第一と考える。現在、国において経過措置期間終了後の影響を調査していると聞いており、この調査の結果も見極めながら、国に対し要望を続けていきたいと述べた。
意見交換では、京都難病連の出席者から、「乳幼児の際に受けた予防接種で筋拘縮が起きている。国に対する訴訟を行ってきたが、敗訴し何の救済もなされず放置されてきた。薬害による障害は難病の定義に当てはまらないとされているが、なんとか難病として認めてもらえるよう国に訴えてほしい」「多発性硬化症は運動障害だけでなく痛みを伴ったり視力障害が現れたりと症状がさまざま。痛みをこらえて歩いていても歩けるということで助成対象とならず、軽症高額となった。重症度分類は不公平感が強く、見直ししてもらえるよう働きかけてほしい」「友の会として学習会を開催すると、助成制度を知らないという患者さんが複数人出る。周知方法など工夫して、必要な人に必要な情報が届くようにしてほしい」などの意見が出された。
協会は、安心して医療にかかれるよう重症度分類の見直しを訴えるとともに、難病連から出された専門医の確保もという声を受け、「専門医確保を民間に任せきりではなかなか難しい。まずは公的医療機関において専門医の確保ができないか検討いただきたい。加えて、病態解明の研究事業の促進がなにより大切。その点においても国に要請してほしい」と述べた。さらに、現在署名活動を展開中であることを紹介し、国への要請の際にも役立ててほしいと述べた。