外国人労働者受入拡大のために入管難民法などの改定案が議論されている。日本は、すでに経済連携協定に基づき外国から看護師や介護士の受け入れを開始している。その結果がどのようになっているのか分からないが、今回は単純労働分野での受入を可能にする策ということのようだ。いまだに受入対象分野は建設業や農業、介護業などから検討中であり、改定法の成立後に省令で定めるという。介護については、2025年度には、約33万7千人の担い手が不足すると推計されており、期待が大きいことは理解できる。しかし、外国人が地域社会で暮らすためには、情報提供体制が必要であるが、国が支援をするのではなく、自治体や受入業者などに任せるということになるかもしれない。
先日、厚生労働省より「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」という調査票が届いた。目的は、訪日外国人が安心安全に日本の医療サービスを受けられるような体制を目指すための調査とあるが、外国人就労者拡大の件と関係があるのかと疑ってしまう。外国人が増えると、病院に医療通訳を配置したり、複数の言語表記が必要となったり、診療においても医師の負担が増すのではないかと思う。特に診療所では、専門の医療通訳を配置するなど、できるとは思えない。
確かに、この数年で外国人の患者が増えていると実感する。慣れない土地で医療機関を訪れなければならない不安を少しでも和らげながら、人種や文化背景を考慮しての疾患や処置・投薬の説明には、多くの時間を要する。それでも初診料や再診料に外国語説明加算はない。国は、このような加算を加えれば医療費が増加するので、医療機関に負担してほしい、ということなのだろうか。
協会は、医師の働き方改革で勤務医の長時間労働規制のために、交代制勤務などの改革が実現できるような医師の増員を可能にする診療報酬の引き上げを求めている。勤務医の労働条件改善を進めると地域の開業医が業務過多になる可能性もあり、医療費抑制策の転換が必要だと考える。
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