難病助成改善と福祉医療拡充を京都府に会員署名151筆を提出  PDF

 協会は、難病法での特定医療費助成制度と京都府の福祉医療制度拡充を求めて、10月30日に府へ会員署名151筆を提出、懇談した。懇談には健康福祉部医療保険政策課の丸毛信樹課長、安原孝啓医療保険広域化担当課長が対応。協会から鈴木卓副理事長と事務局が出席した。また、同内容で府議会に陳情書を提出した。

 懇談では、鈴木副理事長から要望の概要を説明。要望は、①難病法に係る特定医療費助成制度について、18年1月から制度対象外となった患者を制度対象に戻すよう、国に対して要請すること②①が実現するまで、制度対象外となった患者が、特定医療費助成制度と同様の一部負担金で受診できるよう、福祉医療費制度を新設すること③妊婦、産婦、褥婦に対する福祉医療費制度を新設すること④重度心身障害児者医療助成制度、重度心身障害老人健康管理事業の対象を「内部機能の障害」3級まで広げること⑤子育て支援医療助成事業の入院外医療における自己負担金を就学前まで200円限度にすること―の5点。

難病軽症者にも助成制度を

 難病患者の医療費助成は、2014年5月に成立した難病の患者に対する医療等に関する法律による。この新法で、助成制度の対象となる疾患は大幅に拡大したが、一方で指定難病であっても重症度によって助成対象の適用となるか除外されるかが判別される仕組みが導入された。経過措置で受給者証を保持する患者は助成対象とされたが、それも17年12月31日で終了。京都府内で不認定と未申請をあわせると、約3000人となる(本紙3031号既報)。また厚労省の全国調査では、疾患によって難病助成の認定率に、49%から97%と大きな差があったと報道されている(読売新聞10月19日)。協会は、現時点で軽症であっても、いつ重症化するかわからない不安を抱える患者が多いことなどを伝え、府として国への見直し要請を行うよう求めるとともに、独自の助成制度を設けるよう求めた。
 府は、難病助成制度について、問題点がよく理解できたとしつつ、難病の助成制度を府独自で充実させる場合、難病助成の上乗せ制度をどのように考えるのか議論していく必要があるのではないかとの認識を示した。また、福祉医療制度は、これまでから府内全市町村の合意のもとで市町村と連携協力し実施をしてきているものとしたうえで、担当課へは要望の趣旨を伝えるとした。
 協会は、現在患者団体と連携して難病助成の署名活動に取り組んでいることを報告し、担当課とも後日懇談を行う予定であることを伝えた。

子育て支援とともに妊産婦に支援を

 妊婦等に対する福祉医療制度の新設や子育て支援医療助成事業の拡充では、2018年度診療報酬改定で周産期医療の充実を目指し、初・再診料等に妊婦加算、妊婦に対する時間外加算・深夜加算・休日加算、産科・産婦人科特例加算が創設された。協会は、社会全体で子どもを産み育てる環境を整えるためには、費用負担の面でも充実が図られるべきであり、全国の自治体で徐々に広がりつつある「妊産褥婦医療費助成制度」の創設が求められていると説明。妊婦が妊婦検診を受けずに出産月を迎え、産婦人科に駆け込む事例などが報道されていることや全国の自治体で実施されている妊産婦助成の状況なども紹介し、今年度府で拡充の議論が進められている子育て支援助成制度と関連する項目として、議論の俎上にのせてほしいと訴えた。
 府は、妊産婦への助成制度も難病同様、独自の上乗せ制度をどのように考えるのか議論していく必要があるのではないかと述べつつ、岩手県や茨城県などでは福祉医療制度の範疇で妊産婦助成を行っていることは承知しているとした。また現在、府において子育て支援医療助成制度あり方検討会を8月から立ち上げ、経済支援策のさらなる充実・強化をはかるために議論を進めており、拡充の方向性を検討していると述べた。さらに妊産婦支援への拡充を検討するとなると、予算の関係もあり、難しい状況があるのではないかとの見解を示しつつも、担当課へは要望の趣旨を伝えるとした。

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