母が認知症になり3年。介護に関わるようになった。母が元気な時は全く考えてもいなかったことだ。以前と比べ、できていたことがどんどんできなくなってきている▼そんな母を最初の頃は、私の世界に引き込もうとしていた。そうすると、どうしても「それは違う」「それはだめだよ」と、すべてのことが母の否定につながってしまう。180度転換して、親の世界に私が入ることで、状況はガラッと変わる。「そうだね」「そうしようね」とすべてのことが肯定へと変わっていく▼時には声を荒げ反省もある。認知症になった親と関わることは、元気な頃の親を知っていることもあり、難しい。今、デイサービスに行っているが、そのことが親にとって本当にいいことなのか、親はどう感じているのか。認知症になった今では聞くことはできない。行くことを拒むこともある▼今、入院から在宅へ。そして地域包括ケアシステムが受け皿となり、地域で支えようという政策が進められている。この政策を、本当に高齢者の真のケアになるようにしていかなければならない、とあらためて思う▼デイサービスに迎えに行き家まで送って行ったり、一緒に食事をした後、母はいつも「今日はありがとうね」と笑顔で私を送ってくれる。その笑顔をいつまでも見ることができる社会にしていきたい。(治)
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