総会アンケート「開業規制」 について 回答数=102(回答率98%)  PDF

偏在対策と銘打った医師管理に懸念

 通常国会で7月18日に成立した改定医療法により、都道府県が医療計画において、〈医師多数区域〉と〈医師少数区域〉を二次医療圏別に設定し、少数区域のみならず多数区域でも「確保すべき医師の数の目標」を定めることが可能となる。そうなれば、医師多数区域における医師の開業・就業が、当座は「自主的」に、将来は「強制的に」に制限される懸念がある。
 すでに厚労省は「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会中間取りまとめ」(2016年6月)で、医師数が不足する特定の診療科・地域等について、確保すべき医師数の目標値を設定し、専門医等の定員の調整を行えるようにすることと明記している。また、将来的に、仮に医師の偏在等が続く場合には、保険医の配置・定数の設定や、自由開業・自由標榜の見直しを含めて検討することとしている。そうした経緯を踏まえれば、法改定は事実上の開業規制へつながる大きな一歩と考えざるを得ない。
 徹底した医療・社会保障費の抑制が国策として進められている状況においては、提供体制を絞り込み保険財政を安定化させる立場に都道府県を立たせることになる。
 とりわけ、全国的にも医師の多い地域とされる京都・乙訓医療圏は、〈医師多数区域〉とされる可能性が高いといえる。
 協会は、こうした危惧を厚生労働省に直接質し、さらに開業規制につながる条文の見直しを国に要請してきた。また、多数地域で医師数を制限しても少数地域の開業が増えるわけではなく、医業が成り立つような地域の再生こそが求められると京都府への要請でも訴えている。一方で、日本医師会は「開業規制につながる動きが少しでもあれば阻止する」としている。
 この問題に関して、総会出席者に3点の質問を行った。

当事者の半数「知らない」
 「医師少数区域」および「医師多数区域」について「確保すべき医師の数の目標」を定めることができるようになったことを知っているかとの質問に、47%が「知っている」とし、53%は「知らない」とした(図1)。ほぼ半数が関心をもって、この問題をみているという結果がでた。

7割が評価しない
 自由開業制の否定につながる「開業規制」をどう考えるかについては、70%が「評価しない」とし、「わからない」が20%、「評価する」は8%にとどまった(図2)。

強制的手法では解決しない
 強制的な「開業規制」が、「医師偏在」解消につながると思うかについては、69%が「思わない」、14%が「どちらともいえない」、10%が「わからない」、「思う」は6%だった(図3)。

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