医界寸評  PDF

 東京医科大学が入学試験で女子の入学者を少なくするよう点数を操作していた問題は、働き方改革にも関わる問題を提起しているのであろう。女子は、結婚・出産・子育てで休んだり離職したりするので大学としてほしくないということだろうが、それは、医療現場が女性医師にとって働きやすい職場ではないということを露呈している。いろいろ工夫しておられる医局や病院があると思われるが、まだそれが当たり前にはなっていない現状を国民みんなが知るところとなった▼一方、航空自衛隊に初の女性戦闘機パイロット誕生の記事があった。自衛隊でも性別による配置制限を見直し、基地内に保育所を設けるなど男女ともに働きやすい環境作りを進めているとのこと。見習うべきところがある▼働き方改革も医療現場への大きな問題だ。長時間労働は当たり前、当直明けも普通に仕事をするのが当たり前で成り立っていた医局は、働き方改革で立ちゆかなくなる。もっと医師の数を確保しなければ現状の診療体制を維持できなくなるが、その経済的負担はどうなるのであろう。これも現在の皆保険制度を脅かす問題だ。働き方改革に対応し、女性医師にも働きやすい環境を整え、日進月歩の医療技術に対処するという大変なことをしながら、皆保険制度を維持してくという難題が目の前にある。(門雀庵)

ページの先頭へ