副理事長 鈴木 卓
会員の要望・意見踏まえ
診療報酬不合理是正求める
今期の保険部会の重点課題の一つは診療報酬改定結果の検証と不合理点の是正要求運動(厚労省交渉も検討)である。
この間、代議員各位には評価のアンケートをいただいてきた。その中でまず問題なのが、初診料の機能強化加算新設である。いわゆる「かかりつけ医」を登録した200床未満の病院と診療所において初診患者に請求できる点数であり、かかりつけ患者とは関係ない。院所の立ち位置を評価したものと言えるが、これについて改定責任者であった迫井保険局医療課長(当時)は「初診料本体を上げると保険者の猛反発がくるのでこういう形に制限した」旨の“ゆがんだ”発言をしている。ここはかねてから協会が主張している初・再診料等基本診療料引き上げの本筋を通すべきであろう。これに関しては、次回改定で「かかりつけ医でない」院所の初診患者にワンコイン徴収を設定する前触れとも取れる。3割負担患者でかかりつけ医初診料が240円高くなる分をその他の院所で患者負担を定額追加して均等化を図ろうとする方策で注視を要する。
その他、新設されたオンライン診療料やベンゾジアゼピン受容体作動薬に対する長期処方減算などの問題を会員の要望・意見を踏まえて取り上げていきたい。また、益々複雑となった在宅関係の算定方法を詳しく解説した『在宅医療点数の手引(改訂版)』を出版し、説明会を開催する。
改定問題以外では、この秋、「データヘルス改革」関連が大きく動きそうで対応していきたい。「基金の審査改革」と「次世代医療基盤法関連」の2テーマを内容とする。前者は基金のレセプト審査をコンピュータを駆使して全国統一審査に持っていく改革で、従来の医師の裁量権評価のきめ細かな審査や、いわゆる「ローカルルール」が無視されていく恐れがある。この10月より近畿4府県の統一審査試行が行われる。後者は、各患者の医療情報を収集してビッグデータとし、医薬品開発や新産業創出を企図した仕組みで、秋にもこの業務を担う「匿名加工認定事業者」の手上げが予想される。首相官邸は最近、患者説明用の「ひな形文書」を作成したが、制度の十分な説明となっておらず問題が多い。
さらに保険部会の従来からの課題である個別指導問題、審査アンケート、保険講習会A~D、社会保険研究会、各専門医会との診療内容向上会などにも取り組んでいく所存である。