医療制度構造改革の大きな岐路に 第71回定期総会で対応方針確認  PDF

 協会は7月29日、第71回定期総会(第195回定時代議員会合併)を市内のホテルで開催した。総会は、104人(代議員69人、一般会員15人、理事者20人)が出席し、2017年度活動報告および2018年度活動方針、決議案を採択。飯田泰啓議長、松本恒司副議長が議事を進行した。

医療・介護提供体制改革への対応が中心

 最初に、茨木和博理事長代行が17年度の活動を総括。診療報酬改定では、協会は診療報酬本体の大幅引き上げを求め、会員署名を実施。320筆を集約し厚生労働省へ持参した。改定率は、本体部分が0・55%増、薬価・材料価格1・74%減で、全体(ネット)では1・19%減。2回連続のマイナス改定であったが、本体がプラスとなりわずかでも前回改定率を上回ったのは、会員署名提出をはじめとする保険医運動の成果とする理事長談話を発表した。しかしながら、診療報酬・介護報酬とも、もっと拡充すべきであり、地域医療を守る現場の保険医の医療技術等を適切に評価することも談話で求めた。
 また、医師法・医療法改定法や医師の働き方改革、自治体による都道府県医療計画策定など医療提供体制や医療提供者体制への改革が着々と進められている。こうした情報をいち早く会員へ届けるべく本紙で情報提供し、厚労省や京都選出国会議員へ要請したことなどを報告した。

医療・福祉の充実を国政の最重点に

 続いて渡邉賢治副理事長から情勢を報告。安倍首相が改憲2020年施行という期限をきってから1年余。政権の一連の不祥事で滞ってはいるものの、依然発議は現実味を帯びていると述べ、警鐘を鳴らした。
 医療分野では、18年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定、地域医療構想を含む医療計画と介護保険事業計画の同時スタート、国民健康保険の都道府県への財政運営の移管など、医療の大転換が始動。医療費抑制を主眼に、段階的に保険制度改革、医療提供体制改革が進められ、そして医師偏在対策や働き方改革など、最終段階となる医療提供者への改革が開始されていると指摘。
 こうした中、必要な医療は社会保障として国家責任のもとに提供するという基本理念を確認し、それらを実現しうる政策と、実行できる政治を求めて活動を強めていきたいとまとめた。
 続けて渡邉副理事長が18年度の活動方針を提案。国民がどんな医師を求めているのか。どのような医師配置が望まれているのか。医師の働き方改革は、将来の日本の医療制度のあり方を規定する基本課題を提起している。社会保障制度の一翼を担う、公的存在でもある医師・医療機関のあるべき姿を議論していきたいと提案。また、地域特性に配慮しながら、住民の求めるケア体制を創るうえで、各地区医師会に期待される役割は大きく、戸惑いの声もより強くなってきている。京都市をはじめ、各市町村の果たすべき役割を確認し、医師会の方向性を模索し議論する必要があると指摘した。そして、先行きの希望を奪い不安を増長する社会保障抑制ではなく、公的保障を厚くし、医療・福祉を必要とするすべての人々が安心して生きられる社会の実現を目指す政治が求められている。そのためにも、財源確保がどうあるべきかを含め、「社会保障憲章・基本法」に基づく新しい福祉国家への転換を求める運動を継続していくと述べた。
 総会後は、京都大学総長の山極寿一氏による講演「ゴリラから見た人間の健康社会」、続いて懇親会が開かれた。
(関連2・4~5面)

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