協会は、「遺言書の書き方と生命保険の活用」をテーマに相続セミナーを6月21日に開催した。遺言書の書き方は、京都公証人合同役場の公証人の天野和生氏が講演、生命保険の活用は、三井生命京都支社長の池部宣行氏が解説した。参加者は14人。
天野氏は、老後のために利用できる諸制度として、本人の意思能力がある内に利用する「遺言」「委任契約」「任意後見契約」「信託契約」、本人の意思能力を欠く・著しく不十分・不十分の場合に家族等が申し立てる「法定後見制度」を紹介した。
「遺言」は、自分の死後に残された者のために、生前に自分の財産(負債等の消極財産も含む)を誰に相続または遺贈するかを言い残しておくもので、法律行為としての効力が自分の死後に生じるのに対し、「委任契約」「任意後見契約」「信託契約」は、本人が生きている間に本人が生活しやすいように利用する契約だと説明した。法律実務家のアドバイスも受けながら、さまざまな契約や制度を利用して、老後の準備をするよう呼び掛けた。
公正証書遺言は、遺言者が事前に公証人に相談した遺言内容に沿って、公証人が起案する。公証人役場で、証人2人以上の立ち合いのもと、遺言内容の確認後、署名・押印して完成させる。天野氏は、「公正証書遺言作成を前提とした相談は無料で、作成費用も公定料金となっている。公証人は、元裁判官や検事の法律専門家で、諸制度に精通しているので、納得のいく遺言書作成に是非活用してほしい」と述べた。また、公正証書遺言のメリットとして、自筆証書遺言や秘密証書遺言と違い、家庭裁判所の検認が不要で、遺言者の真意に基づいて作成されることが推定されるため、相続開始後直ちに遺言執行が可能である点を挙げ、「遺言書は一度作成しても、その後の状況の変化に応じて作り変えることができるので、元気なうちに作成する」ようアドバイスした。