非課税還付の実現目指し 消費税問題で医療界一致の要求を  PDF

 消費税が1989年に導入されて以来、医療機関が抱える損税問題がいまだ解消していない。協会は望ましい消費税損税の解消策検討のため、代議員アンケートを2018年3月に実施し、非課税還付(日医案)※28%、ゼロ税率(保団連)16%、現状のまま12%、軽減税率6%、分からない38%との回答を得た(結果は本紙第3026号4面既報)。協会はアンケート結果を受けてさらに会内討議し、「損税」解消に向けた取り組みの方向性を確認した。以下、声明全文を掲載する。

「損税」解消で理事会声明

 医療における消費税は、社会保険医療(健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など)が社会政策的配慮から非課税とされているため、医療機関の支払った消費税は他に転嫁することも控除することもできない。具体的には薬剤費、医療材料、医療機器、建物の消費税分である。
 国は、医療機関が負担する消費税は診療報酬で補填済み(診療報酬本体1・06%+薬価・特定保険医療材料1・83%=2・89%)としているが、マクロの分析でも補填不足が指摘されている。そもそも個々の医療機関で設備投資などの仕入構成が異なるのに診療報酬で一律に補填するのは不可能であろう。診療報酬本体への上乗せは、消費税導入時(1989年)の0・11%、消費税5%引き上げ時(1997年)の0・32%は補填の適切性を示す根拠がないが、消費税8%引き上げ時(2014年)の0・63%はマクロでは概ね適正とされている。また、薬価および特定保険医療材料に関わる消費税も損税との誤解があるが、実際には改定の計算式で消費税が含まれており、ほぼ適正に補填されていると考えられる。
 「損税」解消の大前提として、医療の非課税維持は重要である。社会政策的配慮で非課税とされている意味は大きい。医療が課税になることに国民の理解が得られるのか。また医療機関にとっても消費税課税事業者になるデメリットは大きい。4段階税制、事業税非課税の存続への影響は無視できず、地域医療を支えている零細診療所の経営が立ち行かなくなる可能性もある。医療は非課税のまま、支払った消費税の還付希望者が申告によって還付される、いわゆる「非課税還付方式」が日本医師会や保団連中国ブロックなど複数の医療団体から提唱されている。
 京都府保険医協会は、「損税」の解消策には「非課税還付方式(日医案)が良い」との回答が最多となった代議員アンケート(2018年3月)の結果も踏まえて議論を重ね、「損税」解消には、医療の非課税を維持する非課税還付が望ましいとの結論に至った。2019年10月に予定されている消費税10%への増税までに、医療界が一致した要求として、他団体とも連携し、「損税」解消を図りたい。
2018年7月24日
京都府保険医協会
2018年度第5回定例理事会

 ※保険診療は非課税のまま、診療報酬に仕入れ税額相当額として上乗せしている2・89%相当額を上回る仕入れ消費税を負担している場合、その超過額の税額控除(還付)を認める案。

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