目先の節税効果に捉われず長期的スパンで検討を 医療法人講習会を開催  PDF

 協会は、ひろせ税理士法人・認定登録医業経営コンサルタントの常田幸男氏を講師に、医療法人講習会を3月30日に開催。本講習会は、2年に1回開催しており、医療法人化のタイミングやメリット・デメリットを中心に解説した。

 常田氏は、まず、医療法人化するメリットとデメリットに分けて解説。メリットとして経済面では、所得税率(個人住民税含め最高55%)と法人税率(実効税率約28~35%)の税率差による節税、法人化初年度の概算経費率の活用による節税、理事長個人・配偶者への所得分配、親族への役員報酬の支給等とした。感情面では、明確な医業経営の運営、医療法人格というステイタス感等を挙げた。
 デメリットとして経済面では、いったん法人化すると原則後戻りはできないこと、解散時の残余財産が国等に帰属すること、節税のために個人資産が少なくなること等で、感情面では、法人収入の増減が毎月の理事長報酬に即反映されないこと、事業報告書や貸借対照表等の情報開示等と説明した。
 次に、医療法人設立を検討する際は、目先の節税効果だけに捉われず、住宅ローンや教育費等の資金繰り、厚生年金保険料の負担を考慮するよう注意を促した。医療法人化による節税のために個人所得を低く抑えると、住宅購入や教育費に使える個人資産は減る。長期的スパンで無理のない計画を立てることが重要になる。また、一般的に課税所得が3千万円以上になれば節税効果と厚生年金保険料の負担が同等になるので、タイミングの目安となる。常田氏は、厚生年金保険料は自身の将来の保障や従業員の福利厚生の充実が採用や雇用継続する点で有利にもなるとし、慎重に判断するようアドバイスした。
 その他、医療法人化の手続き、医療法人の運営・解散・事業承継、2018年税制改正による影響について具体的に解説した。

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