消費税損税問題について
実施日=2018年3月14日~末日
対象者=代議員89人、回答数=32(回答率36・0%)
医療機関形態=個人無床診療所56%、法人無床診療所34%、法人病院6%、法人有床診療所3%
患者・医療機関とも負担増とならない解決を
協会は、医療機関において、診療報酬が非課税であるため、仕入れにかかった消費税が控除されずに生じている「消費税損税問題」について、今後の協会活動の方向性を検討するにあたり、代議員にアンケートを実施した。アンケートでは、各医療団体が主張する解決策のメリットとデメリットをまとめ、どの解決策が良いと思われるか質問した。
医薬分業の有無は、「おおむね院外処方」が63%、「おおむね院内処方」が34%、無回答が3%。顧問税理士については、「いる」が91%、「いない」が9%と9割の医療機関で税理士が関与している。
消費税損税問題の解決策として、分からない38%、非課税還付(日医案)が良い28%、ゼロ税率(保団連)が良い16%、現状のままで良い12%、軽減税率が良い6%であった(図)。
分からないとした理由は、「メリット・デメリットを考えるとどれが良いか分からない」という意見や、「どちらかと言えば保団連」あるいは「どちらかと言えば日医案」としながらも、判断しかねていることが伺えた。また、「ゼロ税率は実現には相当困難が予想されるので、その意味では非課税還付(日医案)がよりマシでは」との意見もあった。
非課税還付(日医案)が良い理由は、「高い薬を使用する医師が損をするのはおかしい」「ゼロ税率では医院の事務負担が大きくなり、軽減税率では患者の負担が大きくなるから」であった。
ゼロ税率が良い理由は、「患者・医療機関とも負担が増えないのが良い」「診療報酬での補填がベストと思うが、消費税増税では損税解消にならない、患者負担なしを望む」。
現状のままで良い理由は、「院外処方で仕入れは少ないから」「医療機関にとって現状より有利になることを国は認めないから」であった。
消費税損税問題についての自由意見では、「引き下げられ続けている法人税を2000年代初頭に戻せば、消費税10%への引き上げは必要ない」「現状の2・89%相当額では明らかに損税が生じるため改善が必要」等の声が寄せられた。
医療機関における損税は、医薬品費だけでなく、医療材料費、検査・清掃業務等の委託費、医療機器の取得や維持・施設の修繕等の設備投資等、さまざまな仕入れにかかる消費税が、医療が非課税であるために、仕入れ税額控除ができずに生じる。薬価については、消費税分を織り込んで算出されるので、医療機関の消費税負担分はほぼ補填されているが、今回のアンケートでは理解が進んでいないことが伺えた。また、消費税損税問題の解消策について、多数が支持する案はなかったが、今後消費税が10%に増税され何の対策も講じられないままでは、医療機関経営の継続が厳しくなる。地域医療が崩壊することになれば患者・国民への影響も多大だ。協会は、損税解消に向けて各団体との連携や国への働きかけを強めていきたい。