社会保障として高齢者ケアを地域包括ケアの在り方問う  PDF

「老後不安社会からの転換」でシンポ

 協会は4月28日、京都市内で「シンポジウム 高齢者ケア保障の実現へ」を開催。88人の市民・事業者・介護家族・医師らが参加した。シンポジウムのキャッチフレーズに掲げた「誰がしてくれはんの? 地域包括ケア」は、国が喧伝してきた地域包括ケアシステム構築が、国・自治体の社会保障責務の曖昧化をもたらし、医療・介護サービス給付が切り詰められ、その代替として自助・互助が強要され、「地域共生社会」論にまで至る現状に対する問いかけである。
 介護保険制度創設から18年を経た今、同制度を乗り越え、社会保障としての高齢者ケア保障実現を目指す取組の本格展開を訴えるべく、シンポジウムを企画した。折しも、協会も協力する福祉国家構想研究会が書籍『老後不安社会からの転換 介護保険から高齢者ケア保障へ』(大月書店)を上梓。その筆者らをパネリストとして招いた。
 記念講演ならびにシンポジウムのコーディネーターは佛教大学社会福祉学部教授の岡﨑祐司氏。パネリストとして、全日本民主医療機関連合会事務局次長の林泰則氏、明星大学非常勤講師・社会福祉士の末永睦子氏、佛教大学社会福祉学部教授の横山壽一氏、医師の塚本忠司氏が登壇し、介護保険制度の歴史を振り返りつつ、高齢者ケア保障実現に向けた原則を提起した。
 講演会は協会の礒部博子政策部員の司会により進行。冒頭、垣田さち子理事長が主催者あいさつに立ち、創設18年を経過した介護保険制度は保険料負担も膨れ上がっている。充実したケアを提供すれば保険料も引き上がる根本問題を抱えている。今や若い世代は介護保険が昔からある制度のように受け止めている。「2025年」を錦の御旗に進められる改革に対し、現場からの抜本改善の提起が求められていると訴えた。

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