「呉越同舟」という慣用句がある。中国の春秋時代に敵対していた「呉」の国と「越」の国の人が一緒に舟に乗るという意味で、仲の悪い人が一緒にいて気まずいという意味と思っていた。しかし、本来の意味は、もしも両国の人が同じ舟に乗り合わせ、暴風に襲われて転覆しそうになれば、両者普段の遺恨を忘れ、舟が沈まないよう助け合ったに違いない、という「孫子」からの出典だという▼今回の京都府知事選は自民、民進、公明、立憲民主、希望の各党から推薦を受けた西脇隆俊氏が当選した。呉越同舟と批判的に表現されることが多いが、本来の意味のように皆で力を合わせて、さまざまな難局に立ち向かっていただくことを期待したい▼これまでも京都府は、医療制度構造改革の下、医療費適正化計画導入や後期高齢者医療制度創設以来、国の医療費抑制政策とは一線を画し、後期高齢者医療制度の保険料低減事業や、「医療費適正化計画」を冠しない計画を策定。地域医療構想における2025年の必要病床数についても、すべての構想区域において病床数を維持・増加を目指すことを明記した。貴重な政策判断だ▼引き続き、府民の健康といのちを第一に考えて、そして府民の生活を守るための政策を行う自治体であってもらうために、協会は現場の医師の声や患者さんの声を府政に届けていきたい。(内)
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