知っておきたい 医院のための雇用管理 8  PDF

社会保険労務士
桂 好志郎

髪色が派手になっていく職員、どこまで制限できるか

 ◇職場や年齢によって制限や感じ方の違いも
 職員の髪の色・型に対する制限がどこまで許されるのかは、職場や職務内容によって異なります。学生や若者向きの洋品店や飲食店などでは金髪が問題にされることはまずないでしょう。また、年配の女性が白髪を栗色に染めるのは良くてなぜ茶髪はいけないとか、世代間における評価にも違いがあります。
 染めている人が目立つようになった最近では、医院においては、業務への影響から勤務中は長い髪は束ねる等の定めはするものの染めることを禁止としている例は少ないように思います。
 ◇業務上必要な範囲で指示を
 職員の人格や自由に対する行きすぎた支配や拘束まで許されませんが、医院の秩序が医院の維持運営に不可欠であることは誰も否定しないところです。
 そこで問題になるのが服装や身だしなみ。本来は個人の自由に属する問題です。しかし、医院においては、業務遂行への影響、安全・衛生の確保、患者さんに不快感を与えないこと、識別性、職員全体の一体感を高めるなどの観点から一定の服装等を義務づけているところが多いと思います。
 勤務中の服装や身だしなみについて、業務上必要な範囲で必要な指示をすることは問題ないと思います。
 ◇院長の意見を反映させ、「服務心得」などで周知するようにしましょう
 服務規律は、その性質上、職員の勤務態度に大きな影響を与えますので、院長自身よく考えて、過去のいろんなことを思い出して、院長の意見を反映させるようにしましょう。
 服務規律の定めをした場合は、就業規則に記載する必要があります。全職員が関係しますので、分かりやすく、かつ明確に規定するようにして下さい。「職員としてふさわしくない」などの抽象的な表現にとどめず、具体的に明記したほうがいいでしょう。また就業規則を作成していない医院でも、「服務心得」として文章化し、周知する方法もあります。
 採用時には、よく説明を行い、質問を受けよく理解・納得させること。後からはなかなか言いにくいこともありますし、職員も安心して働くことができるのではないでしょうか。

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