ハードル高い加算並べ本体プラスと言われても  PDF

内 科 顧問 関  浩

 改定率は本体プラス0・55%(国費プラス588億円)、薬価・材料マイナス1・74%(国費マイナス1865億円)(薬価ベースでマイナス7・48%)、ネットでマイナス1・19%(国費マイナス1277億円)とされる。
 財務省の「薬価改定は診療報酬本体の財源にはなり得ない」との方針は崩せず、保険医の要望である基本診療料である初診料、再診料のプラス改定はなされず、夜間・早朝等加算、明細書発行体制等加算、時間外対応加算、外来管理加算などの普遍的点数も据え置く一方、ハードルの高い加算点数を並べて本体のプラス改定と言われても、しらける一方である。
 診療所、200床未満病院における新設・見直し点数の主な項目は、①初診時における機能強化加算(新設80点)②診療科を問わない妊婦に対する初診時加算(新設75点)、再診時加算(38点)、および通常より高い時間外加算、休日加算、深夜加算、時間外特例加算③地域包括診療加算1(25点の上位基準新設)、同診療料1④様々な算定要件、施設基準を要求するオンライン診療料(新設70点)、同医学管理料⑤歯科の求めに応じた診療情報連携共有料(新設120点、3カ月に1回)―などである。
 かかりつけ医機能の定義は定まってはいないが、外来も訪問も行い、ドック・健診結果の説明や対処、がん検診の勧奨、大病院への紹介・退院後の医療継続、介護保険への関わりなどとされるが、厚労省の意図するかかりつけ医機能とは今回新設の機能強化加算算定の施設基準そのものだといえよう。また、在宅医療誘導のためのかかりつけ医機能を拡大させるために「24時間対応」を他の医療機関と連携することによる診療報酬を新設した。医療機能の分化・強化、連携推進をはかり、かかりつけ医以外の受診に対して差額徴収を導入する条件が整えられ、フリーアクセスが阻害される危険性に警戒を強めなければならない。

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