今年は桜が早かった。素人なのでこれも温暖化かと思っていたら、この冬の寒さが厳しく目覚めが良かったようである。それに加えて、夏日になるような暖かさが続いて、あれよあれよという間に満開になった▼温暖化が進むと、桜が咲かない地域が出てくるともいわれている。暖かすぎると目覚めが悪くなるとのこと、自然の営みは難しい。その桜に日本人は長年焦がれている。西行法師は、「願わくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ」と詠み、逝った▼最近の桜の名所は海外からの観光客で大賑わい、外国語が飛び交っている。観光での経済活性化が言われ、ホテルが増え、とうとう地価まで上がった。民泊があちこちで問題を起こしているが、観光がよい経済効果をもたらしてくれればありがたい▼桜といえば、ソメイヨシノが代表だが、このクローンの桜を日本人はここまでよく増やしたものだ。クローン故か寿命は短いようで、あちこちの桜の名所で枯れた枝を目にするようになった。弘前の、リンゴの剪定を参考にした桜の管理の仕方が広がり、寿命が延びればいいのだが▼クローンといえば、動物でも各種作られ、人間に近づいてきている。人類の欲望は、倫理を乗り越え、自然を無視するのだろうか。そのような人類に未来はあるだろうか。桜は自然に従い散っていく。(門雀庵)
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