2018年度診療報酬改定について
実施日=2018年1月25日
対象者=代議員+理事者78人
回答数=71(回答率91・0%)
内訳=内科系54・9%、外科系45・1%(診療所88・7%、病院5・6%)
技術料評価しネットでプラス望む
改定率および1月12日に公表された「骨子」に示された改定の方向からピックアップして、代議員会出席者に質問した。
改定率について、①ネットでプラスにすべき48%、②本体プラスで十分27%、③ネットでプラスマイナスゼロにすべき16%という結果であった(図1)。協会は本体プラス改定を方針に運動し、結果として僅かながら勝ち得たが、20年度改定に向けて代議員会出席者の思いは①であることを踏まえたい。
薬価引き下げ分は本体財源に
改定財源について、薬価・材料価格引き下げ分は全て本体改定の財源に充当すべき69%という結果であった(図2)。財務省は「薬価改定は診療報酬本体の財源とはなり得ない」との方針で臨んでおり、今回もこれを突き崩すことができなかったことは、はなはだ遺憾である。
「かかりつけ医機能を有する医療機関の初診を評価する」として初診料の機能強化加算が新設された。これについて、反対37%、どちらとも言えない32%、賛成20%という結果であった(図3)。
協会は「かかりつけ医機能を有する医療機関」以外の医療機関への受診制限(フリーアクセス制限)と本加算の関係を危惧している。このフリーアクセス制限の算定要件化について、反対75%という結果であった(図4)。
複数医師の訪問診療を評価
複数の診療科の医師による訪問診療が可能となることについて、賛成82%という結果であった(図5)。
協会は従来から地域における専門科の異なる医師の訪問診療による連携を評価すべきだと主張していた。新設にあたって算定制限が設定されたのは残念だ。
ヘパリン類似物質等(保湿剤)の給付制限について、反対47%、やむを得ない35%の結果であった(図6)。算定制限は撤回され、判断は審査に委ねられた。
要介護者のリハ切り捨て反対5割
要介護被保険者等に対する維持期リハビリの医療保険外しについて、反対54%、分からない25%という結果であった(図7)。反対の理由として、「要介護者の増加が見込まれるのにサービスの切り捨てだ」「必要なリハビリが受けられない患者が増えて、寝たきりが増える」「患者のQOLを上げる保障が必要」等が挙げられた。
看取り指針算定要件化にさまざまな意見
訪問診療料のターミナルケア加算の算定要件等に「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」に則った看取り指針が算定要件化されたが、これについて、①反対32%、②分からない31%、③やむを得ない24%、④賛成11%と意見が分かれた(図8)。選んだ理由として「①経済的インセンティヴで行うべきものではない」「②ガイドラインの広報が不十分で議論が必要」「③多死社会となっていくため」「③患者と医療者側との十分な話し合いのもとにターミナルケアが必要」「③患者の意志決定権は重要」「④訪問診療をするからにはターミナルまで責任を持つべき」「④本人、家族、主治医も決められないまま長期療養を続ける例がある。延命によって本人、家族とも苦しんでいる例もある」「④ターミナルについて考えたり、話し合う機会はできるだけ多く設定すべき。きっかけとして意味あり」とさまざまな意見が出された。
最後に「在宅診療の算定要件のしばりが増えて進まない」「地域包括診療加算等を届け出ていなければ、かかりつけ医ではないのか。おかしな論理だ」「高額薬剤、高額医療について方針を示してもらいたい」「働き方改革を目指すなら技術料を十分評価すべきだ」との意見が出された。
本アンケートの結果は、協会の診療報酬改善運動の貴重な資料とさせていただく。
図 1 改定率について
図 2 改定財源について
図 3 かかりつけ医の初診料について
図 4 フリーアクセス制限の算定要件化について
図 5 複数医の訪問診療料について
図 6 ヘパリン類似物質等給付制限について
図 7 維持期リハビリの医療保険外しについて
図 8 ガイドラインの算定要件化について