人口減社会に向かい、政財界は「働き方改革」による「一億総活躍社会」を目指している▼年金支給開始年齢引き上げ、配偶者控除引き下げで、高齢者や主婦(主夫)を「稼ぎ」のために労働させようとしている。「稼ぎ」がなく自宅にいても、地域や家庭には「仕事」がある、社会のために働いていることは忘れられている。「働き方改革」は「働かせ方改革」である▼働かせられては「仕事」にならず誇りも持てない▼古来我々はお互いの足らないところを知り、補い協働してきた。地域社会のために「仕事」をし、生活のために「稼いで」いた。現在でも人的財政的能力の限られている小規模な自治体は、住民の相互の「仕事」により何とか維持されている。高齢者も「仕事」をしている。しかし若壮年人口の流出により「仕事」能力は減り、地域社会は消滅に向かっている▼5年後勤務医は「働き方改革」の対象になる。病院や勤務医は大変であろう。医師は働かせられているのではなく、患者さんのために仕事をしている。医療費増加は医療技術の進歩や高齢化によるにもかかわらず、医療費抑制のため、診療報酬は抑制され、技術料は正当に評価されず、我々医師は疲弊している。フリーアクセスや自由開業制の制限は、我々開業医にとっては「働かせ方改革」である。医師の矜持は持てなくなるかもしれない。(恭仁)
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