第二に、今回の医師の働き方改革に関する検討会は前提として17年4月の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」報告書をベースにしている。同報告書は、国民皆保険制度の理念である「いつでも・どこでも・誰でも」という「平等」の理念を「再定義」し、医療システムを「高生産性・高付加価値」構造へ転換すること。同時に医師を含む医療職は、「社会的価値の高いキャリア」の追求、その結果として、「国民の納得する効率の良い医療の実現」を謳うものだった。もちろん、その背景にあるのは「いかに効率的に医療を提供するか」であり、医療費抑制政策を医師の働き方にまで浸透させようとの意図である。
医師の働き方改革は、少なくとも国にとって、医師の健康や生命を守るためとの動機ではないところから発せられている疑いが濃い。
私たちはそのことも敏感に捉えた検討を求められているのである。
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