私がお答えします!
京都中央法律事務所
弁護士 福山勝紀
質問1 クレーマー(病気の変化が明らかに認められないのに、頻回に来るケースなど)のような状況の場合、どう対応すればいいでしょうか。
回答 明らかに診療行為が必要ではない場合には、応召義務の問題は生じないのではないかと思います。もっとも、自覚症状として「しんどい」と言われてしまえば、外観上明らかに診療行為が必要でないとは言えないでしょうし、これまでの診療行為に対する質問や苦情を述べに来るという患者の場合には、説明義務の範囲と言わざるをえないですから、応召義務が明らかに認められないというケースは少ないように思います。
質問2 「医療は進んでいる」「早期発見・早期治療が大事」などの言葉が医療者側からよく言われますが、患者さんがこの言葉を聞くと「病気・怪我はすぐ診てもらわなければならない」となり、どんな事情があろうと断れないことに繋がるのではないでしょうか。
回答 どのような事情があろうと断れないということにはならないと思います。正当な理由があるかどうかを具体的な状況に基づいて判断することになるはずです。
質問3 最初から窓口負担が払えないと言って受診してくる患者さんがいます。あるいは第三者行為で受傷した場合等で「被害者だから払う必要はない」と誤った認識を強く持って受診される場合も。どうすればいいでしょうか。
回答 おそらく、通達の「医業報酬が不払いであっても、直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない」を意識された質問かと思います。最初から不払いと宣言される状況によるかと思いますが、明らかにお金を持っているにもかかわらず、そのような態度で診療を受けようとする場合には、信頼関係が構築しえないと考え、症状の程度にもよりますが、診療を拒否することはありえると思います。もっとも、第三者傷害で加害者が支払うべきだという考えを持っている場合には、別に考えざるをえないと思われます。あくまで患者さんにいったん支払ってもらうべきですが、加害者が加入する保険会社に支払いを求めることもありえます。