昨年末に閣議決定された2018年度税制改正大綱において、住民税特別徴収額の決定通知書(以下、通知書)へのマイナンバー記載について、「書面により郵送する場合には、当面、マイナンバーの記載を行わない」ことが明記された。今回の方針転換は、特別徴収実務上のマイナンバー記載の不要性やマイナンバー漏えいの危険性等の問題点を指摘し、記載中止を求めてきた私たちの主張の正しさを証明した。しかし、電子媒体等で送付する場合はマイナンバーが記載され、マイナンバーを活用した税務手続きの電子化がより促進される。
事業者は、マイナンバーの施策への協力に努めることを求められ、適切な管理のために必要な措置を講じなければならないとされているが、私たち診療所をはじめ開業保険医等にとって安全管理措置を講じることは事務・費用負担も大きく医業経営を圧迫する。通知書へのマイナンバーの記載は、事業者に一方的に管理義務を押しつけ、過重な負担を強いる上に、情報漏えいの危険性を高めることになる。
自治体にとっても、通知書へマイナンバーを記載することは情報漏えいリスクを高める。実際に昨年5月、京都府内で通知書の誤送付により10事業所18人分の情報漏れが生じた。自治体が国の示す方針に無批判にしたがい、住民からの懸念の声を無視した結果である。通知書にマイナンバーを記載しないことがこれらの情報漏えいの危険性をなくす。
地方自治体は、主体性をもって国の方針が正しいか誤りかを常に吟味するべきである。それをせずして何が「自治」なのか。常に住民目線で、住民生活の安心・安全を考慮するべきである。今後各自治体の判断・責任が大きく問われる。
2018年1月23日
京都府保険医協会
理事長 垣田 さち子
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