2017年12月18日、18年度の診療報酬改定率が決定された。結果、本体プラス0・55%、薬価・材料価格マイナス1・74%、ネットでマイナス1・19%と決まった。
一部マスコミの報道で、診療報酬の引き上げは医師の収入が増え、患者の負担が増えるとあったが、これは全くの誤解である。診療報酬は医師の報酬だけではなく、人件費や医療機器の維持管理費、新たな設備投資などにも必要なものである。
診療報酬が抑制されれば、医療機関は、今後の医療ニーズや技術革新を踏まえた、患者一人ひとりの状態に応じた安心・安全で質が高く効果的・効率的な医療ができなくなるのである。
今回の改定率が、前回を上回る本体プラスと決まったことについては一定の評価はできるが、今回も薬価改定財源が社会保障費に関する自然増の伸びの抑制に充てられ、診療報酬本体に充当されなかったのは極めて遺憾である。
今後は財源の配分に焦点が移るが、地域を支える医療機関の経営は、基本診療料によって成り立っており、基本診療料をしっかりと評価するべきであると考える。
高齢化が進む中で、政府は在宅医療を推進する政策であるが、在宅医療を担う医師が少なく地域医師会などでもいろいろ検討されている。しかし、在宅での看取りや、24時間対応など困難な状況である。
介護報酬も今回の改定で0・54%プラスとなったが、介護職員の報酬アップには程遠く、介護離職の歯止めには効果なく介護施設の経営も厳しい状態である。社会保障審議会・介護給付費分科会は「地域包括ケアシステムの推進」や「自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現」などを掲げているが、訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ等を担う人材の確保は厳しい状況である。
社会保障の普遍性・公平性を考慮すれば診療報酬・介護報酬はもっともっと拡充するべきである。厳しい状況ではあるが地域医療に貢献するよう我々は頑張っていきたい。
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