誰もが幸せになる国目指し 保険医運動の邁進を  PDF

 清々しい良き新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。
 昨年は、アメリカ合衆国大統領にトランプ氏が就任、「アメリカが第一」と高らかに宣言し、これまで世界の平和・民主主義を実現するために、人々が地道な努力を重ね、積み上げてきたさまざまな取り組みからの後退を押し進めている。
 ヨーロッパにおいても、20世紀に経験した二度の世界大戦への深い反省から出発し、世界史上画期的なヨーロッパ連合を成立させ、人種・民族の違いを超えて人類統合の理想に向かって歩みを進めてきた。しかし、イギリス国民はEUからの離脱を決め、独自の道を歩もうとしている。
 アジアにおいても、いまだに分断されたまま国際社会から孤立し、無駄なミサイル攻撃を繰り返すことで自己主張を続ける国家の存在が、常に周辺国の緊張感を高めている。
 アフリカ、南アメリカ、中近東と地球のあちこちで止むことのない紛争の実際は日々リアルに伝えられ、私たちは、今や、世界規模の人類史の一端を担って生きていることを実感する。地球市民という言葉が少しも大げさでない日常語となった。
 そんな中で、昨年のノーベル平和賞に「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が選ばれたことは、この上ない快挙であった。
 アメリカによる人類初の原子爆弾投下の残虐性は凄まじいものだった。直接の犠牲となった広島・長崎の人々が中心となって絶え間なく続けられてきた「核兵器廃絶」を目指す運動、それを支える平和への熱い想いが、戦後72年目にして世界の共通認識として確認できたことを喜び合いたい。私たちも「反核京都医師の会」を結成し、長きに渡ってともにこの運動を担ってきたことを讃え合いたい。
 日本は、二度の被爆に加えて、7年前には福島第一原発事故による放射能被害を経験した国だ。世界の人々に生々しい“核”の恐ろしさを知らせていく使命がある。変な理屈を並べ立て「核兵器禁止条約」に加わらない政府を持つことを憂える。
 日々の診療の場で、医師としての仕事だけではとても治せない、病の背後にある患者さんの生活の荒廃状況を目の当たりにすることが増えている。今こそ、そうした現場にいる我々の声が、保険医運動が、力を発揮するときだ。そして、この国のあり方、政治のあり方そのものを変えていかなければならない。
 本年も、理事・事務局一同、力を合わせて邁進致しますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 会員の皆様のご健勝と幸多き一年でありますよう祈念致します。

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