医界寸評  PDF

 インフルエンザワクチンが不足している。この混乱は、マスコミの報道が火に油を注いでいるように思う。ワクチン不足の原因としては、製造株の決定が遅れたためといわれており、ワクチンの製造量が過去5年で最も少ないことを厚生労働省が発表した▼厚労省は9月15日には「季節性インフルエンザワクチンの供給について」という通知を出している。その中で、ワクチンの注文は接種希望者から申し込みがあった段階で必要に応じて行うことが望ましい。接種シーズン終盤にワクチンを返品した医療機関等の名称について、公表することがあるなどと記載されている▼ワクチン供給が不足している状況で、こういう通知を出さざるを得ないのは理解できるが、予約分だけの注文でワクチン接種の希望に対応できると本気で思っているのだろうか。適正な余剰在庫がないと、接種希望に対応できないのではないだろうか。その上、残ったワクチンを返品すると公表する可能性があると脅している▼少し前にも他のワクチンが不足していたが、最近ワクチン供給の不安定さが目立つようになっているように思う。ワクチンの製造を製薬会社任せにすれば、余剰在庫が出ないように製造するのは営利会社としては当然のことだ。ワクチンの安定供給のために国が責任を持って供給体制を構築してほしいものである。(内)

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