医界寸評  PDF

 先日、毘沙門堂門跡の小林祖承執事長の卓話を聞いた。「最近、電車内で化粧やアイラインを平気で塗る女性が何故多くなってきたのでしょう? それは隣にいる人になって考えると分かる。人として意識されていないのです。物体や景色としてしか考えていないから平気なのです。学校や会社内の意識している人の前ではしないでしょう。人との関係が希薄になってきているのではないでしょうか」「周囲の人に少し気を配り、人として敬い、少しの優しさを持って接すればもっと幸せを感じられる。つまり相手を大事にするということが菩薩の教えにもあります」「最近、自宅の前を掃除されましたか? 家の前の掃除は隣との境は少しだけ隣に入るぐらい、また前の家は真ん中より少し相手側まで掃除をするのが良いのです」。相手の家の前までするとかえって失礼になり機嫌を損なうこともある▼相手を大事にする精神は外国に対しても同じはず。中国、台湾、韓国、ロシアは一番近い国だが、相手を大事にすることで何とか上手くやっていけないものだろうか。四苦八苦という仏教用語の中に、求めるものが得られない苦しみ(求不得苦)というものがある。求める幸せとは人によって違うが、人に迷惑を掛けてはいけないということは共通するはずだ。菩薩の悟りの境地にはまだまだ遠い道のりだ。(名)

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