富山にはまる。  PDF

 昨年から富山に行き浸っている。2017年の今年も黄金週間に2泊3日の小旅行を味わってきた。鮮度の良いうちに紀行を綴ってみよう。もともとはホタルイカの食感が好きで本場にいつか行ってみようと企んでいて、昨年のやはりゴールデンウィークにそれは実現できたが富山の魅力は果たして当然のことながらそれだけではなく汲めども尽きぬ多様な良さを見出しつつある。

 ところで日本地図を見ていると富山は北陸の雄、加賀百万石の金沢と日本海側に長ーいなまずのように寝転んでいるような新潟との間に挟まれ少し窮屈そうに見える。しかしそれは2次元的な展望であり富山県は背後に立山連峰を備える一方、天然のいけすとも絶賛される3000mもの深層水を持つ高低差6㎞を超える3次元での偉大さを持つのだ。この俯瞰するような魅力の中で地域による多様性を備え、一般的な人気スポットと言われ続けてきた黒部立山アルペンルートに限らず、いわゆる目立たないところに秘めたる魅力が眠っているようだ。さらに知人によると、立山が富山を激烈な地震から守っていると信じているようなのだ。物理的な原因なのかそれとも立山という神のおかげなのかはわからないが。それからもう一つ、北陸新幹線が開業して金沢へのアクセスは格段に便利になった。しかし、これはあくまで首都圏からの旅行者への便宜であり、関西からは特に富山に行こうと思うと金沢で乗りかえを余儀なくされる。でもこのめんどうくささが富山観光の足かせになる一方富山独自のよさを保護することになりはしないか。
 さて閑話休題、今回で3回目だったが、エピソードを一つ。北前船の中継地となっていた富山県は古くから日本海貿易の拠点として発展していて、なかでも神通川の河口に利をもつ富山湾は中心的な役割をしていたらしい。さて富山港展望台へは25mもの高さを克服しなければならないが、上まで行くと2~3人のやんちゃなこどもが近寄ってきて“よくがんばりましたねー”と褒めてくれた。こどもたちと意味ありげな視線を交わしながらにやにやするも内心、複雑な気持ちになった。こどもはほんとに正直ではあるが可愛い悪魔でもある。よっぽどじじいに見えたんだろうな。

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