協会は、新規開業を考えている勤務医を対象に「新規開業予定者のための講習会」を5月21日に開催した。共催は有限会社アミス。第1講目の「新規開業動向と開業までにおさえたいポイント」を株式会社メディバンスの西口昌裕氏、第2講目の「スタッフ雇用の注意点」を桂労務社会保険総合事務所の桂好志郎氏、第3講目は、ふくしま内科醫院院長の福島達夫氏が先輩開業医からのアドバイスとして開業時の経験談を話した。
西口氏は、開業までのポイントとして、自身がどのような医療を行いたいと考えるのかなど、診療所の経営理念や診療方針を明確にすることが大切と述べた。診療圏調査は、実際に足を運ぶことも重要。そして、開業場所周辺の医療機関がどのような診療を行っているのかを知り、科目標榜は専門性をしっかり出すことが重要と強調した。
桂氏は、最近の雇用環境は非常に悪く、いじめや嫌がらせ等が多くなってきている。その中で、医師本人が雇用に関する基礎的知識を持つことが必要。「労働時間」「法定労働時間」等の定義をそれぞれ把握した上で、従業員のシフト表作成など、医師が確認・把握することが重要と述べた。また、従業員の定着のポイントとして「年次有給休暇」を有効活用することをアドバイスした。そして、働くルールを作り、お互いが認識し約束を守ることが、従業員との信頼関係を築く秘訣と述べた。
福島氏は、開業してよかったこととして、時間に縛られずに、自分が理想とする環境をつくることができると述べた。開業してからの診療体制については、電子カルテが非常に便利であり、医師が自分でできることは可能な限り自分自身で行う。従業員(看護師、事務員等)はその診療体制に応じた人数にし、地元密着のスタッフが有用であるとアドバイスした。反省点では、広告宣伝について費用がかかる一方で、それに見合った効果がなかった。何にでも手を出すのではなく、広告宣伝方法はしっかり考えた方がよいと述べた。その他にも、薬剤の納入価が会社によってバラつきがあるので、価格差を調査することや、地区医師会へ入会することで、健康診断や予防接種を通じて患者が増えるメリットがあることなど、自身の体験談を語った。
参加者からは「開業までの流れがわかり、大変参考になった」「雇用関係については、勉強が必要だと感じた」との感想があった。
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