医界寸評  PDF

 本を買うのが趣味(病気)であると昔書いた。本棚があふれかえり、本を探すのに四苦八苦する。本命を探しているのに、ついつい思わぬ対抗・大穴を見つけてしまい、時間を取られることがよくある▼先日も『蛙日記』(弓削経一著作集)を本棚の奥にあるのを見つけた。大先輩の先生方はご存知だと思うが、弓削経一先生は府立医大眼科学教室教授・病院長、市立病院院長を歴任、伏見で開業された大先生である。『蛙日記』は「京都医報」「京都保険医新聞」「伏見医報」「京都新聞」等に寄稿された文章を集めたもので、1988年6月に発行された▼眼科にとどまらず、医療全般(他科についても)や身近な出来事を歯に衣着せない論調で書かれていて痛快である。先見の明があり、今でも色あせていない。同窓会雑誌にも書かれた。若い医師に対しての「患者対応心得」だ。①職業意識あふれる診療を(患者は最高の師)②無駄口をたたかぬこと、特に年長の人に③他科にわたる訴えは受持ち医としてできる範囲で診て処置すること④できるだけ、朝、患者を見舞うこと、顔を見せるだけでも―等8項目である(抜粋)▼また、ライトハウス運営にもご尽力された(ご子息の弓削経夫協会元副理事長も)。17年4月「京都ロービジョンネットワーク」が産声をあげた。少しでも視覚障碍者の方の支援になれば良いと願う。(玲奈)

ページの先頭へ