府の国保運営協議会始まる 運営方針取りまとめに注目  PDF

2018年度からの市町村国保都道府県化に向け、京都府の準備が本格化している。府は改正国民健康保険法に基づく「国保運営協議会」を設置。第1回会合を6月12日に開催した。協議会は被保険者、保険医または保険薬剤師、公益代表、被用者保険等保険者代表の計14人で構成され(表)、府が事務局を担う。同協議会に課せられた任務は都道府県化後の各市町村の保険料賦課の根拠となる「納付金の徴収」や「都道府県国保運営方針」等の審議であり、京都府知事への答申である。
国保都道府県化は、同時に18年から実施となる「第3期医療費適正化計画」と「地域医療構想を含めた医療計画」を整合的に進めるよう国は求めており、都道府県による医療費管理・抑制をねらうものである。その下で保険財政と提供体制を両面から担うこととなる京都府が、どのような運営方針を取りまとめるか注目される。
初回となった今協議会は「国保改革、国保運営方針の概要説明」(図)が行われた。今後のスケジュールとして、7月に予定する第2回で国保運営方針の知事からの諮問・論点抽出、第3回には「国保運営方針の中間案のとりまとめ」を行い、パブリックコメントも経て18年1月の「最終報告」まで5回開催を予定している。
しかし厚生労働省は1月20日開催の厚労省・主管課長会議で、夏前に公費の考え方を示し、10月には納付金算定に必要な「仮」の係数を示す。確定係数は12月下旬にすべての保険者から給付実績等を収集して推計値をつくる。診療報酬改定(年末に改定率が決定)も踏まえる必要があると説明。
京都府ならびに市町村は確定係数を受けてから最終的な納付金・保険料を決定する運びとなるが、保険料率決定には各市町村議会の議決が必要であり、極めてタイトな日程での作業を自治体は強いられる可能性が高い。また、都道府県化によりもたらされる保険料への影響はいまだ見えず、国の考えるペースでは仮に保険料が引き上げとなる自治体が発生した場合も、住民が声をあげる時間がほとんどない危険性もある。
京都府・市町村の動向とあわせ、国の動きにも注視し、医療者としての意見を住民とともに発信する必要がある。

平成29年6月12日府国保運営協議会 資料1
(表) 京都府国民健康保険運営協議会 委員名簿

区分 氏名 所属
被保険者代表(4名) 宇野 眞理子 京都市国民健康保険
尾松 佳栄子 亀岡市国民健康保険
中村 眞澄 八幡市国民健康保険
鎌田 隆宏 井手町国民健康保険
保険医又は保険薬剤師代表(4名) 内田 寛治 一般社団法人 京都府医師会
清水 鴻一郎 一般社団法人 京都私立病院協会
三井 博晶 一般社団法人 京都府歯科医師会
近田 厚子 一般社団法人 京都府薬剤師会
公益代表(4名) 井上 恒男 同志社大学大学院 総合政策科学研究科教授
岡﨑 祐司 佛教大学 社会福祉学部長・教授
桂 敏樹 京都大学大学院 医学研究科教授
武田 知記 社会福祉法人京都府社会福祉協議会事務局
被用者保険等保険者代表(2名) 中島 善行 健康保険組合連合会京都連合会
矢田 久雄 全国健康保険協会京都支部
計14名

〈事務局:京都府〉

(図) 国保改革、国保運営方針の概要

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