薬価改定の仕組みと毎年改定について
対象者=代議員91人、回答数35(回答率38%)
調査期間=2017年4月18日~30日
協会は代議員に対して、①薬価の毎年改定が実施された場合の影響②毎年改定への意見③厚労省の薬価決定プロセス―についてアンケートを実施した。主な診療科は内科系19人(54%)、外科系15人(43%)であった。
毎年改定については「反対」が4割
2018年度以降、通常の改定に当たらない「谷間の年」において、薬価と実勢価格の乖離が大きい品目に絞って薬価を引き下げる方向で調整していると報じられている。医療費のうち薬剤費が1900億円削減できると試算される一方で、医療機関、薬局は在庫価値の減少で経済的ダメージを受けることが予想される。これについて、代議員の実状を訊いた。
投薬の仕方については、16人(46%)が「主に院内処方」、15人(43%)が「主に院外処方」、4人(11%)が「半分半分」であった。
このうち、「主に院内処方」、「半分半分」と答えた方に、以下質問した。
(1)従来の2年に1回の薬価改定で、薬価引き下げにより、在庫薬剤がどの程度の経済的ダメージを受けたかについて、4人が回答した。
平均11万7500円~17万2500円。最小値2万円~3万円。最高値20万円~30万円。「直近5回の改定における平均」は2人が回答。平均17万5000円であった。
次に、(2)仮に薬価改定が毎年実施された場合、薬価引き下げにより、在庫薬剤によってどの程度の経済的ダメージを受けるかについて、1人が回答し、20万円であった。
2年ごとの薬価改定よりダメージを比較した場合では、「分からない」が14人(70%)、「大きくなる」が5人(25%)であった(図1)。
(3)全ての方に、薬価の毎年改定をどう考えるかを質問したところ、「分からない」が16人(46%)、「反対」が15人(43%)、「賛成」が2人(6%)であった(図2)。
昨年末に行った京都府薬剤師会との懇談会では、毎年の改定は困る、との意見が出された。今後、対象薬が全体に拡大されることも危惧される。協会としても、医療機関に負担を強いる毎年の薬価改定には反対する。
薬価改定プロセスの公開を求める意見多く
薬事承認前の新薬の審査を担うのはPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)という厚労省の外局であり、薬事承認されると90日以内に自動的に薬価収載されることになっている。そして、保険局医療課の「薬価算定組織」が薬事承認された薬に「仮薬価」をつけ、中医協で承認される。この「薬価算定組織」の議事録は存在しないと厚労省は説明しており、協会は16年末、「薬価算定組織」の議事録、議事次第、出席者名簿、資料の全てを情報公開するよう求めたが、議事録は公開されなかっただけでなく、不存在であるとも明記されなかった(そのため、現在、厚労大臣に対して審査請求を提出している)。
以上を踏まえ、薬価算定組織の議事録が存在しないことについて、代議員の考えを質問した。
「議事録を作成し、原則公開すべき」が20人(57%)、「議事録は作成するが、企業機密に関する部分は公開しない」が11人(31%)、「分からない」が4人(11%)、「議事録の作成は従来通り必要ない」が0人であった(図3)。
また、厚労省の薬価決定プロセスの情報公開について、代議員の考えを質問した。
「個人情報・企業機密を勘案しつつ情報公開すべき」が17人(49%)、「もっと情報公開すべき」が13人(37%)、「分からない」が4人(11%)、「情報公開に馴染まず現行の対応でもやむを得ない」が1人(3%)であった(図4)。
協会は保団連とともに、高薬価の適正化に努力したい。