現在、医学の世界も大きな転換期を迎えており、これからは高齢社会における高齢になった人がいかに生きるかの「生き方」の時代であり、そこには生活を支える医療が必要である。私自身開業して以来ずっと在宅医療に関わって、西京医師会で在宅療養ノートを作成したりしてきた。その後、2000年になり介護保険が導入され、各地に包括支援センターや通所介護施設が数多く立ち上がった。
11年、「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が成立し、地域包括ケアシステムが位置づけられ、介護保険法第5条の3項として「国および地方公共団体は、被保険者が可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険機能に係る保健医療サービス、および福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防、または要介護状態等の軽減もしくは悪化の防止のための施策、ならびに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療および居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ、包括的に推進するように努めなければならない」と規定された。
これにより、在宅医療を担う地域の医師もまた明確な視点をもって介入することが求められることになった。
介護予防もかかりつけ医にとって重要な役割であり、かかりつけ医はロコモやサルコペニア、フレイル等を予防する方法論を持たねばならない。このような視点には、個別医療と地域の総合医療の「統合」が必要である。
連携システムの基本は、医療・介護連携である。すなわち、医師、看護師、介護士あるいはデイサービスなどさまざまなサービスが大きな流れの中でそれぞれ活動しているのが実情で、同一の方向性を持っていない。
西京医師会では、医師、歯科医師、薬剤師、看護師(四師)、介護福祉士、社会福祉士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、歯科衛生士(六士)を交えた、「よろし会」を立ち上げ、交流会を通じて意見等を集約しながら、常に見える関係を作っている。
この顔と顔を合わせる環境づくりが地域包括ケアにおけるかかりつけ医の在宅医療にとっても重要であり、それこそが高齢者の生活を支える「統合」である。
また、在宅医療は、かかりつけ医が一人で行うものではなく、さまざまな状況の中で、すべての専門医とも協力しあって実行していかねばならない。協会は従前から、複数の医療機関がひとりの在宅医療を受け持つ場合、訪問診療料の算定ルールが連携を妨げていること、在医総管、施設総管について「総合的な医学管理」に変わりがないのに、単一建物居住者複数人に対して「一物二価」の点数が設定されているのはおかしいと考えている。今後も継続して改善要求を行う必要がある。
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