対象者=代議員91人、回答数34(回答率37%)
調査期間=3月17日~3月31日
2016年4月改定では「かかりつけ医機能の評価」が強調され、地域包括診療料・加算の基準が緩和されるとともに新たに認知症地域包括診療料・加算や小児かかりつけ診療料が新設された。さらに、歯科医師や薬剤師の「かかりつけ機能」を評価する点数も設定された。それぞれの算定要件に違いがあるが、「かかりつけ機能」を整備した場合とそうでない場合を差別化するという点では共通だ。すでに中医協では、2018年度診療報酬改定に向けて「かかりつけ医機能」について論議をスタートしている。
2月22日の中医協総会で厚労省は、かかりつけ医機能評価の政策的根拠として社会保障制度改革国民会議の報告書で提言された「緩やかなゲートキーパー機能」があるとし、「今はフリーアクセスで、患者が医療機関を自由に選択できる。好きな時に、好きなところを受診できるため、大病院を選びがちであり、その結果、医療現場の疲弊を招いている。一定の整理がないと、〝広く解釈されたフリーアクセス〞の弊害が大きい」と、その方向性を説明。さらに、諸外国の制度について、①イギリスは「登録診療所のみ受診可」②フランスは登録制だけれども、かかりつけ医以外を受診することも可能で、その場合は保険給付率が通常の7割から3割になる③ドイツは法的義務はないけれど「90%がかかりつけ医を持つ」―などと例示。
日医の中川副会長は、ゲートキーパー機能や登録制の導入を牽制。これに対し、厚労省の迫井保険局医療課長は、日本は「単一の医療機関に受診を制限する制度ではない上に、諸外国の例も推奨するわけではない」とし、かかりつけ医機能を発揮するためにはチームで対応する場合もあると説明した。
このような状況を受けて、かかりつけ医機能に対する診療報酬上の評価付け等について、代議員の意見をきいた。
登録制とアクセスコントロールは反対が8割
患者の登録制については、77%が「反対」。「賛成」は9%だった。(図1)
かかりつけ医以外を受診した場合に、定額負担を徴収あるいは保険給付率を引き下げるなどして、患者のアクセスをコントロールすることについて「反対」が88%を占め、「賛成」は6%にすぎなかった。(図2)
紹介機能や業務移管の点数化は評価分かれる
一方で、専門医療機関への紹介=ゲートキーパー機能に対する評価付けについては、評価が分かれ、「どちらでもない」38%、「反対」35%、「賛成」21%となった。(図3)
「かかりつけ医機能を発揮するためのチームでの対応」=薬剤師や訪問看護師等、他職種への業務移管と評価付けについて、「反対」47%、「どちらでもない」27%、「賛成」21%であった。(図4)