主張/憲法9条冠する日本平和的解決に向けた努力を  PDF

 北朝鮮のミサイル発射情報を受け、一部の交通機関が安全確認のため、運転を見合わせたとする報道が多く流れた。東京メトロはすべての路線で午前6時7分から運転を見合わせ、10分後に再開。北陸新幹線は金沢駅と上越妙高駅の間で午前6時8分から運転を見合わせ、10分後に再開などである。また、ある医療団体では、「ミサイル発射を準備中と伝えられる北朝鮮に対して、米国が攻撃態勢を取っているとの報道がございました。有事に際して、患者の生命の安全を確保すべく慎重に行動されますよう願います。不要不急の外出を控えて下さい。外出中におかれては、地下道に避難する等安全確保に努めて下さい」とする注意喚起が出されているようだ。
 米政権が「外交的措置を追求する」方向を打ち出した「共同声明」を発表し、ノルウェーで米国が北朝鮮高官と会談。また、中国に対し、米国務長官が北朝鮮が核・ミサイル開発を放棄すれば「4つのノー」、①国家体制の転換を求めない②金政権崩壊を求めない③南北統一を急がない④米軍
は38度線を越えて北朝鮮側に侵攻しない―と伝えたとされている。中国は①核・ミサイル開発放棄の引き換えとなる経済援助の実施②米朝の敵対関係を終わらせるための平和協定の締結③国交正常化交渉の開始―を提案したと報道された。
 前者の交通機関運転見合わせなどの報道は、アジアにおける軍事的対立と挑発を強調し危機をあおる傾向が見られ、後者の対話路線の報道は、軍事的対立などからの変化を示そうとしている。そしてまた前者には何らかの意図が隠れていないだろうか。
 北朝鮮が進めている核兵器とミサイル開発は、アジアや世界の平和と安全を脅かすが、米政権は「すべての選択肢がテーブルの上にある」と北朝鮮への軍事的圧力を強める姿勢を取り、北朝鮮は「わが軍と人民はいかなる選択もいとわない」と戦争も辞さないとする。そして日本政府は、こうした米政権の姿勢に、支持と理解を表明しているのである。
 このような武力による対立と挑発の危険性は、歴史が繰り返し教えるところであり、そうだからこそ国連憲章も「武力を用いないことを原則」とする。
 平和主義に基づく憲法を持つ日本は、米国・北朝鮮に対し、今こそ力による解決ではなく平和的な解決を求める努力をすべきである。これは核の時代にあっては、理想論に止まらず、我々の生存に関わる問題でもあろう。

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