「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」が4月18日の衆院本会議で自民、公明、日本維新の会などの賛成多数で可決、参院に送付された。12日の衆議院厚生労働委員会においては、「森友問題」での質問をめぐり採決が強行されていた。政府は今国会で成立させる目論み。
これについて協会は、31本もの法案を一括で提案するやり方やわずかな審議時間で採決を強行する国会運営に抗議。内容においても「地域共生社会」において「我が事・丸ごと」の地域づくりを掲げることで、公的責任を後退させ、サービスの縮小を招くことが懸念されること。一定以上所得者(年金収入年額340万円以上)に対する利用料3割負担導入が、2015年の利用料引き上げの検証もないまま行われることに不安の声が相次いでいることをあげ、徹底審議のうえで廃案とすることを求める要請を京都の国会議員に行った。
要請は20日に事務局が国会議員会館を訪問。「医療・介護の負担増の中止を求める要請署名」の会員116人分とともに手渡して協力を求めた。この日会うことのできた6議員(自民:二之湯智参院議員、民進:北神圭朗衆院議員、福山哲郎参院議員、共産:穀田恵二衆院議員、井上哲士・倉林明子参院議員)には直接手渡した。なお、会員署名は安倍首相、塩崎厚労相、麻生財務相に送付した。
法「改悪」に反対し国会内集会
保団連などが介護保険法「改悪」に反対する国会内集会を20日に開催、約200人が参加した。集会で住江憲勇保団連会長が「あらゆる行動で廃案にしよう」とあいさつし、利用者や事業者など現場の切実な訴えや野党各党の国会議員が発言した。
今法案の問題については、全日本民医連事務局次長の林泰則氏が解説。①性格の異なる31本の法を一括処理。大部分を政省令に委ねるため法案だけでは詳細分からず②負担増について、利用料3割化するにあたって対象者が負担に耐えられるのか検討なし。今後は法「改正」を要せず、際限ない対象者の拡大が可能③新たな「介護医療院」の創設=医療療養病床の一部削減、介護療養病床の全廃のための転換施設、詳細は審議会での検討待ち。介護療養病床は「退院困難が85・5%」(17年3月)④自立支援・重度化防止に向けた保険者機能の強化=「成果」をあげた市町村に財政支援→市町村に給付抑制を競わせるしくみづくり。事業所に成功報酬導入→「自立支援介護」への転換⑤「共生型サービス」の創設=高齢者、障害者へのサービスの一体的提供を可能に→「65歳介護保険優先適用原則」の強化、障害者施策と介護保険制度の実質的な「統合」。土台にあるのは政府の「“我が事・丸ごと”地域共生社会」方針。誰も反対しえない「共生」を前面にすえた公的福祉、社会保障の削減・解体の新たな枠組み―などと指摘。今後についても、本格的な「軽度」切り・給付体系の再編が企図されていることへの警戒を要するとした。