私のすすめる 落語入門編  PDF

落語を聞きにいこう!
東京では、落語がブームらしい。連日、寄席は満員で、人気の噺家が出演するとなれば朝から人が並ぶと聞いた。そのおかげか、落語に関するテレビ番組も増えていると思う。何気なく見たNHKの「超入門!落語THE MOVIE」。噺家の語りに合わせて、役者さんたちがあてぶり芝居をし、落語の世界を映像化する番組だったのだが、面白い! 目からウロコで、一気に落語の世界に惹かれていった。にわか落語ファンの誕生である。
好きな噺家は人間国宝の柳家小三治、真打の柳家三三、春風亭一之輔。いずれも江戸落語で、毎日音源で落語を聞く、落語本を読むというようなはまりっぷりだ。
今年3月には三三と小三治の親子会にいそいそと出かけることに。700人収容の客席が満席で、北海道や沖縄から来られたお客さんもいるという。小三治がまくらで「やはり京都は人気で」と笑いを取っていた。もう少し年配の人が多いかと思ったが、結構若い人も目立つ。
前座はでてこず、二つ目の柳家小かじが「たらちね」を披露。大家の紹介で妻をもらったものの、彼女の言葉づかいがあまりにも丁寧なために起きる騒動を描く。次に三三で「安兵衛道場破り」。この演目はそもそも講談ネタで、剣術にたけた安兵衛が宿賃稼ぎに次々と道場破りを行う話。そしてトリの小三治が「馬の田楽」。荷物の運搬を行う馬方のドタバタ滑稽話。どれもこれも落語が始まると、噺家は消えて台詞とともにすっと登場人物が立ち現れる。町人でも長屋の住人、大店の主や手代、ご隠居さんなどさまざまだ。また、江戸には武士もいる。それぞれを声音や口調で演じ分ける。女性なら女性、子どもなら子どもが話しているようにしか聞こえない。
また、小三治は「まくらの小三治」と言われるほど、まくらが長い。今回も思いつくまま1時間ほどは話していたか。落語をする時間がなくなったと終演時間を延長しての会となったが、ぜひ聞きたいと思っていたまくらも含め、大いに満足して帰路についた。今度は東京の寄席に行くぞ!
(事務局・二橋芙紗子)

シリーズ『柳家小三治の落語』
既刊6巻、小学館文庫

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