京都府は3月末日までに「京都府地域包括ケア構想」をとりまとめた。
同構想は医療・介護総合確保推進法に基づき、都道府県が医療計画に盛り込むこととされた「地域医療構想」にあたる。
協会は府が2015年12月に示した「中間案」へのパブリックコメントを提出し、国の「地域医療構想策定ガイドライン」が示した「医療需要に対する医療供給を踏まえた病床の必要量(必要病床数)の推計」を機械的に採用しない姿勢を評価する一方、医療福祉関係者・市町村と協同した医師・診療科不足・偏在の解決や、2025年の在宅医療等の必要量の推計(国推計)を全域で1・8倍と見込んでいることについて、府が実態に基づかない「政策的にもたらされた需要増」に与せず、入院・在宅両面の保障を目指すこと等を求めていた。
府の姿勢評価の一方、イメージわかずとの意見も
今回、正式にとりまとめられたビジョンは、中間案に比べ、「薬局」に関する追加記載等はあるが、焦点となってきた各構想区域の必要病床数推計について、15年5月1日現在の許可病床数に比べて減らさず、全体として増加する見込みを明記し、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の各需要別の病床数の「目標」を細かく書き込まないという点に変更はなかった。
一方、パブリックコメントの結果も報告された。15年12月19日〜16年1月16日の間に56人、129件の意見が寄せられた。
協会と同様、府が国の方針を機械的に採用しなかった姿勢を評価する意見が複数ある一方、機能別必要病床数が記載されていないため「必要となる経費や人員数がイメージできず、将来も引き続き医療資源が偏在することが危惧される」と逆の指摘もあった。
在宅の受け皿で危機感持つ意見多く
全体として目につくのは、「在宅療養」あるいは「地域包括ケアシステム」についての意見の多さである。「入院治療が必要な患者が病院を追われることにならないか」「地域包括ケアシステムの推進は重要」「慢性的な人手不足」「市町村の役割を強化することが必要」等、膨らむ在宅需要をどう受け止めるのかについて、各々の考えが書き込まれている。
協会はあらためて在宅療養の受け皿をどう確保するかについて、府に対する要望をとりまとめ、提出する予定である。
パブコメで府が医師定数設定反対を明記
加えて、パブリックコメントには「新専門医制度」に関する意見が寄せられた。意見は「都道府県間の格差是正」という考え方が問題と指摘し、新専門医制度で府の基本領域における専門医数が制限されるのではないかとの危惧を表明。
これに対し、府は「新たな専門医制度における診療科別地域別に定数を設けることについては、反対」と明記した。
今後、府は保健医療計画等を策定することになる。実際に入院・在宅の両面から確実な医療保障を目指す姿勢が求められており、協会も必要な意見を届けていく。