協会は鴨井勝也税理士を講師に、2016年分白色確定申告説明会を2月15日に開催。16年分確定申告の所得税についての主な改定点等を解説するとともに、申告書の書き方について説明した。参加者は17人。
所得税等の改定点
16年分所得税等に関する主な改定点は、①多世代同居リフォーム工事に関する控除が新設された②被相続人の居住用家屋を売却する場合において、一定の条件のもと譲渡所得3000万円の特別控除の適用ができることとなった③確定申告書にマイナンバーの記載が必要になったこと等―。
③のマイナンバーを記載した場合は、本人確認書類の提示または写しの添付が必要(ただし、扶養家族の本人確認は不要)。電子申告する場合は、番号入力のみで本人確認は不要となっている。
なお、協会では、申告書等にマイナンバーの記載がなくても税務署では受理されることを確認している。
その他、住宅取得資金贈与の非課税限度額が昨年分より減額されている。一般の住宅用家屋で1000万円から700万円、良質な住宅用家屋(耐震・エコ住宅)で1500万円から1200万円になっている。
17年以降の改定点
17年分以降の主な改定点は、①セルフメディケーション税制の創設②配偶者控除および配偶者特別控除の見直し等―。①は、居住者が17年1月1日から21年12月31日までの間に、自己または自己と生計を一にする配偶者、その他親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合における新たな医療費控除である。特定一般用医薬品等購入費の金額の合計額が年間1万2千円を超えるときは、その超える部分の金額(8万8千円を限度)を控除額とすることができる。健康の保持増進および疾病の予防として、一定の取り組み(健康診査、がん検診等)をしていることが要件となる。従来の医療費控除との選択適用になるので、領収書を分けて保管しておき、どちらが有利かは1年経ってから判断する。
②では、18年1月より、配偶者控除「世帯主の年収のうち38万円を課税対象から差し引いて所得税を減らす仕組み」で、対象となる配偶者の年収上限が103万円から150万円に引き上げられる。配偶者特別控除「配偶者の年収103万円超~141万円未満なら一定額(最高38万円)を差し引ける仕組み」では、配偶者の年収上限が201万円以下まで広がる。ただし、配偶者特別控除で設定されている世帯主本人の所得制限が配偶者控除にも導入され、世帯主の年収1220万円を超えると控除の対象から外れるため、高所得者は制度を利用できなくなる。
申告書の書き方の留意点
収支内訳書付表の必要経費の内訳において、自由診療分の経費を算出する際、「自由診療分と社会保険診療分とに明確に区分できる経費の総額」に「予防接種・ワクチンの仕入れ分」「外注したレセプト請求費用」等を入れることができる。措置法差額を計算後、収支内訳書の欄外に記入し、申告書第二表の特例適用条文等に「措置法26条」の記入も忘れないことが重要である。
その他、保険医年金を受け取った場合の雑所得等記載時は、必要経費等欄には累計払込保険料ではなく、累計払込掛金を記入する。ふるさと納税を行った場合は、申告書第二表においては⑯に記載するとともに、住民税欄の「寄付金税額控除・都道府県、市区町村分」にも納税額の記載を漏らさないことに注意する。
医療費控除の注意点として、保険金で補填された場合でも、実際の医療費支払額で計上する。同一生計であれば、別居している父母の医療費を負担した場合でも控除が可能。診療情報提供書は医療費控除の対象だが、自費の診断書等は控除の対象とならない等がある。