介護改定のキーワードは「地域共生」 狙いは医療効率化と在宅移行  PDF

安倍内閣は2月7日、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案」※1を国会提出した。

介護保険法の改正については、医療・介護総合確保推進法による、要支援1・2と判定された人たちの介護予防訪問介護・介護予防通所介護を全国一律の給付から除外し、地方自治体の実施する「地域支援事業」に新設される「新しい総合事業」へ移管するのをはじめ、段階的に実施されている最中であり、「またしても」である。
同法案は「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」の2本柱で組み立てられている。
前者には①保険者機能の強化②医療・介護連携の推進③地域共生社会の実現―が、後者には④所得の高い層のサービス利用料3割化⑤介護納付金への総報酬制導入―が盛り込まれている。
②の医療・介護連携に乗じて登場したのが「介護医療院」構想である。
これは、「介護療養型医療施設」および「医療療養病床のうち、医療法上の看護師および准看護師の人員配置が4対1未満の病床」が17年度末に設置期限を迎えることを受けたものだ。
06年、構造改革を本格稼働させた小泉政権の手による医療制度構造改革の一環として療養病床の再編成が目指されることとなった。当時、「医療の必要に応じた機能分担を推進することで、①よりよいサービスの提供②人材の効率的な活用③医療・介護の総費用の減少」※2が目的に掲げられ、介護療養病床の全床と、医療療養病床も入院患者を「医療の必要性が高い」者に限定し、大きく減らすことを目標に据え、11年度末に期限を切った取り組みが開始された。
しかし11年の介護保険法改正にあたり、「介護療養病床の老健施設等への転換が進んでいない現状を踏まえ」、転換期限が17年度末(18年3月末)に延期されたのである。
当時と今日とでは、「地域医療構想」の存在という大きな違いがある。
地域医療構想の登場により、慢性期医療提供体制の見直し方針が鮮明に打ち出され、「療養病床への入院受療率の地域差」解消の観点が必要病床数推計に盛り込まれ、入院医療の効率化と介護サービスを軸とした在宅移行(地域包括ケアシステム構築)が目指されることになった。これを背景に、厚生労働省は15年に「療養病床の在り方等に関する検討会」、16年に療養病床の在り方等に関する特別部会を設置し、具体的「新類型」の提案に向けた議論を進めてきたのである。そうやって登場したのが「介護医療院」である。
国は法案提出にあたっての資料で、同院は要介護者に対し「長期療養のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供する施設と説明し、上表のように整理されている。
その上で、「現行の介護療養病床の経過措置期間については、6年間延長することができる」とされ、具体的な介護報酬・基準・転換支援策は、介護給付費分科会等で議論するという。
新類型そのものの是非は、それが実際に人々の医療保障に役立つかどうかを見極めることなしに判断できない。施設基準(最低基準)がどのように設計されるか、介護報酬がどのように算定されるか。また国は「医療内包型」と「外付け型」の二つのパターンを示しているが(上図)、その狙いは何か、注視が必要だ。
さらに、介護医療院も含んだ今回の法改定が何を目指すのか。総体としての把握・分析も求められる。その際、重要となるキーワードは「地域共生」という言葉である。(関連4面)
※1 法案は厚生労働省ホームページから読むことができる。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/193.html
※2 『高齢者の医療の確保に関する法律の解説』(土佐和男編著・法研刊)

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