「今日参加されている方の中で、ここ2日間、尿が出ていないという人はいますか? もしいたら、その人はこんなところにいる場合じゃないんで、今すぐ向かいの病院へ行って下さい」というつかみの一言に、場の空気が一気に緩んだ。砺波理事の「いつも快適、排尿生活」講座は、こんな和やかな雰囲気の中で始まった。
まず我々のうちのどれくらいの人が排尿に問題を抱えているか。60歳以上では8割に及ぶという。尿は、健康体で1分間に1cc、1日に1400~1500ml作られ、大体150~200mlたまるとトイレに行きたくなるため、通常だと1日あたり7回程度排尿することになる。この排尿の回数や量などに異変が起こるのが排尿障害や蓄尿障害だが、その起こり方は、男性と女性でかなり違うらしい。一般に男性の場合は、前立腺肥大などとの関係で尿が出にくくなるため頻繁にトイレに通うようになる。女性の場合は、加齢や出産による骨盤底筋の弱まりによる過活動性膀胱や男性よりも短い尿道に腹圧がかかっての腹圧性尿失禁というようなケースが多いそうだ。
それ以外にも原因は多くある。原因ごとに治療を受けるわけで、前立腺肥大や高血圧症、糖尿病、睡眠時無呼吸症、不眠、腹圧性尿失禁などは医療的ケアが必要だが、自分でもできる簡単で効果の高い方法があると、「歩くこと」をアドバイスされた。いろいろな薬よりも効果があり、糖尿病対策にもなるうえに、骨盤底筋を強化し、認知症も改善するらしいと、参加者の多くに心当たりのありそうな排尿トラブルに対する親切で優しいアドバイスに参加者は、みなガッテンだったのではないだろうか。
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