協会は1月16日、垣田さち子理事長名で「京都府地域包括ケア構想(中間案)」(2985号既報)へのパブリックコメントを、京都府宛に提出した。
協会は、京都府が国の「地域医療構想策定ガイドライン」の定める「医療需要に対する医療供給を踏まえた病床の必要量(必要病床数)の推計」の機械的採用を回避する姿勢を評価。その上で今後の課題として次の3点を挙げた。
一つめは、医師・診療科の偏在・不足問題の解決だ。
地域医療構想は病床数に着目したもので、現実の地域が抱える診療科や医師不足の解決に何ら力にならない。次に府が策定する京都府保健医療計画等を通じ、地域実態を把握し、医療福祉関係者・市町村と協同しての課題解決が求められる。
二つめは、在宅医療・地域包括ケアシステムの問題。
地域包括ケアシステム構築は必要としても、国が定めた在宅医療需要推計の算定式は政策的に在宅患者を増やすものである。府は必要な入院保障と在宅の医療・介護の連携体制構築の両面でのリーダーシップ発揮が求められる。
三つめは、国の医療費抑制策が新段階を迎えるにあたっての、府の医療政策の基本スタンスについて。
府中間案は2025年の「機能別」必要病床数の明記を見送った。協会はこれを評価。一方、国が18年度に保健医療計画と同時に策定を求める「第3期医療費適正化計画」では、「医療費支出目標」設定が求められ、入院医療費見込みは「機能別」医療需要を用いた算定式を示されている。また近い将来、医師数も機能別病床数に基づき推計させられる可能性が高い。府の姿勢は国政策と矛盾をきたしかねない。それでもなお、府が国の医療費抑制策に与せず、現在のスタンスに留まるよう求める。
府はパブリックコメント実施後、府の医療審議会の確認を経て、正式に構想をとりまとめる予定。