医界寸評  PDF

 2017年が、どんな年であったかなどと考える余裕もなく、終わろうとしている。街はクリスマスのイルミネーションで彩られているが、そんな華やかな気持ちになれない▼来年4月には診療報酬改定が待ち受けている。改定率が18日に出されたが、ネットで1・19%のマイナス改定だ。今、医療機関は厳しい経営の中で、何とか国民に良い医療を提供しようと努力している。そして、患者の命を預かる以上、スタッフの十分な確保が必要だ▼しかし、現状は、ぎりぎりのスタッフでやっていくしかない状況にあり、いったんスタッフになにかあり、職場を離脱することになれば、一気に医療機関の医療提供体制を守っていくことができなくなる。残ったスタッフで医療の質を落とさず維持していこうとすると、スタッフみんなの疲弊が募るばかりでなく、不安定な状況は患者にもとても不幸なことである▼本来、医療の安心安全を確保するために、必要で十分なスタッフの雇用を診療報酬で保障されていなければならない。十分なスタッフが確保できず、人件費を切り詰めていかなければならない今の診療報酬のありかたが、そもそも間違っているのではないだろうか▼我々は、「保険で良い医療」「保険で良い医業経営」を目指していくとともに、患者負担減を同時に求めていかなければならない。(治)

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