新規開業を考えている勤務医を対象に「新規開業予定者のための講習会」を11月29日に開催した。共催は有限会社アミス。
ひろせ税理士法人認定登録医業経営コンサルタントの常田幸男氏より「Withコロナ時代の医院開業」をテーマに講演。その後、谷村内科クリニック院長の谷村雄志氏(西京)より開業時の経験を話していただいた。
常田氏は、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)による診療所経営への影響として「一部の診療科を除き、20年7・8月の保険診療部分の収入は前年同月比で減少。特に小児科や耳鼻咽喉科では15~20%減少している」と報告。加えて、新型コロナが医院開業にも影響を与えていると指摘した。
コロナ禍以前からの変化として「開業地を選定する上で人の往来状況を確認するが、テレワークの導入などで人の動きにも変化があり、オフィス街で開業する場合はそのことを考慮しなければならない。医院の設計工事では発熱患者の動線確保や隔離室の設置、受付の飛沫防止対策、エアコン・換気扇の増設などの要望が増えている。その他にも院内備品では自動精算機やサーモグラフィの導入、システム面では待合室での密を避けるための対策として診療予約制や順番呼出ベルを導入したりしている。医院のホームページで感染対策への取り組みを発信して患者やスタッフ家族に安心してもらうことも重要」とアドバイスした。その他にも保険医協会の低利の融資の活用をはじめとした資金計画や事業計画作成にあたっての留意点等を解説、来院患者を増やす工夫事例を紹介した。最後に「開業準備は大変だが一生に一回のことであり、楽しまないと損」と締めくくった。
開業地で求められる医療のイメージを
先輩開業医からのアドバイスとして谷村氏は、開業までにやらなければならないことを紹介した上で「一番大切なのは開業予定地の選定。駅やバス停から遠い場合は駐車場を確保できるかが大きなポイント」と述べた。さらに経営戦略として「自分の得意分野を特色としつつ、開業予定地周辺の住民層を把握し、求められる医療を予想すること。その上で、クリニック名を専門治療に特化するのか、あえて専門を前面に出さずに幅広く診療を行うのか考えること」が必要とした。その他にも開業時の事務作業を専門家に一定任せることの必要性や医業に精通した税理士・内装業者の選定など経験をふまえた具体的なアドバイスがあった。
最後に、曽我部理事より地区医師会への入会手続きと会員医師の経営と生活をサポートする保険医協会の各種共済制度を説明後、参加者からの質問等に対応した。参加者からは「具体的に教えていただき、大変参考になった」等の感想をいただいた。